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彼女は役目を終えようとしていた ページ21

純粋で無垢な彼女だったから、時には危ない雰囲気になる事もあった。

簡単な嘘に騙され、妙な物を飲まされた時もあった。

時には暴力を振るわれ、恐怖で支配しようと目論む輩も存在した。



それでもチャンスが来るまで、耐えた。

耐えるのもクロの仕事であり、役割だった。


そうやって彼女のあの子供の様な無邪気さを守り続けていた。



おかげでAの方はそういう類は何も知らない。覚えていない。
爐△鵑併瓩任気彼女は覚えていないはず。
だってその場に立ち会ったのはクロだから。

クロは自分の役割に責任を感じている。

Aを守るのが自分の役目。
だからAが危険な目に会った時は助けられるようにしているし、助けられる力も知識もある程度手に入れた。


でもその役目も、もう終わろうとしている。

このまま上手く行けば、自由の身。
もうAが危ない目に晒される事は無いのだから。


そう考えたら心做しか、イマイチだと思っていた缶コーヒーの味が美味しく感じた。

ようやく、ようやく自分の責務を果たせるのだと。
自分の出番は無くなるのだと思うと、体が軽くなったような気がした。


……まぁ、Aは無知過ぎる場面もあるので、自由になった後も暫く色々教えてやらなきゃいけない。

でもきっとそれは猯↓瓩了纏なんかよりもずっと楽で、ずっと楽しいはずだ。
Aも物分りはいい方だし、すぐ覚えてくれるだろう。



「(あと少し…あと少しよ、A。
大丈夫、上手く行くわ。そうすれば私達は…)」



「なぁ、そこのお嬢さん」



Aに言い聞かせるように、自分に言い聞かせるように。

クロは心の中で『大丈夫』と語り掛けていたその時
不意に1人の男性に低い声で掛けられ、彼女は顔を上げた。


すると目の前にはいつの間にか3人の男が立っていて、彼女は思わず眉を顰める。

着崩したスーツ。ニタニタと笑う顔。
中心の男に至っては、袖を捲り上げた腕には何やら刺青が入れられていて、如何にもな格好をしていた。


彼女の狷猫瓩砲笋蕕譴真祐屬、もしくは自分を知っている人物か……

缶コーヒーを握る手に力が僅かに込もり、クロは睨むように彼等を見遣った。

彼女ははぐらかした→←彼女は彷徨い歩く



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(プロフ) - 朝から暇潰しにと軽い気持ちで読み進めてたんですが、書き方や設定の作り込みにすごく惹き込まれて一気に最終章まで読み進めてしまいました……特に主人公対兄松それぞれのやり取りにはすごく圧巻したというか、兎にも角にも笑いあり感動ありですごく面白かったです;; (2022年4月30日 0時) (レス) @page50 id: a82882ac10 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - トマトの王様さん» コメントありがとうございます!終わってしまいました…!楽しんで頂けたようで良かったです^^ここまで読んで下さりありがとうございました〜!! (2019年8月1日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
トマトの王様 - うわあぁぁぁぁぁ!遂に終わってしまった…!( ;∀;)読んでてとても楽しかったです。お疲れ様でした! (2019年7月31日 14時) (レス) id: 5390b171c6 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - arumo?さん» コメントありがとうございます!お疲れ様ですっ( ˇωˇ ) (2018年10月10日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
arumo?(プロフ) - お疲れ様です! (2018年9月29日 11時) (レス) id: ee4365cb85 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年9月9日 1時

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