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ルビーは油断する ページ37

「Aっ…?!」



声のした方を兄弟達は皆一斉に見遣る。

するとそこには物陰に隠れるAの姿を見つけた。


彼女は全身血だらけになってはいたが、それらは全て返り血のようで、本人は至って無傷だった。

彼女は最初怯えた表情で6つ子達を見遣っていたが
おそ松の姿を捉えると目の色が変わり、頬を綻ばせて嬉しそうな、泣きそうな表情で赤い彼の名前を呼ぶと同時に、彼の元へと駆け寄った。



「おそ松兄さんっ…!!」

「Aっ…!」



おそ松も両手を広げるとAはその胸の中に飛び込み
おそ松がその髪を撫でれば、彼女は彼の胸板に顔を押し付けながら涙を流した。

ぎゅぅとおそ松の胸の上で握り締められた拳は震えていて、きっと彼女は怖かったんだろうとおそ松は同情し、同時に無事だった事に安心した。


きっとクロが……彼女のもう1つの人格であり、彼女の友人であり、家族であり、先生である彼女(・・)が守ってくれたのだ。

おそ松はそう考えて、今はただAの無事を喜んだ。



「Aちゃん…!!」

「Aちゃん!無事で良かったぁ〜!」

「なんか変な事されてないか?怪我とか本当にねーんだろうな?」

「あの男達、お前がやったの?
…ヒヒッ、だとしたらやるじゃん」

「……」



Aの無事を喜ぶのはおそ松だけではない。

彼女が無事だと知ると彼女を取り囲み、皆表情を綻ばせた。


ただ1人、カラ松だけは1歩離れて、何処か哀愁漂う苦笑いを浮かべて。

だがそんなカラ松に皆気付きはせず、ただただ彼女の姿を見てホッと胸を撫で下ろす。



その手に隠し持つ狷猫瓩傍ど佞ないまま。



「わ、私……私、怖かった…!こ、怖くって……怖くて……おそ松兄さんに、早く、会いたくてっ…!」

「うん…うん。ごめんねぇ、遅くなっちゃって」

「ううん…いいの。おそ松兄さんに会えたんだもん……

_____しかも、こんなに近付けた」

「ぅぐッ……?」



突如おそ松に襲い来る、腹部の痛み。

直後に口端から血が垂れ、周りの弟達は驚愕する。


おそ松はゆっくりと、自分の腹部に視線を落とした。

そこには血塗れたナイフが1本突き刺さり、彼女はニンマリと微笑んだ。



「今度はちゃぁんと騙されてくれたようで……良かったわ」

彼女は名乗る→←サファイアは呼び掛ける



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(プロフ) - 朝から暇潰しにと軽い気持ちで読み進めてたんですが、書き方や設定の作り込みにすごく惹き込まれて一気に最終章まで読み進めてしまいました……特に主人公対兄松それぞれのやり取りにはすごく圧巻したというか、兎にも角にも笑いあり感動ありですごく面白かったです;; (2022年4月30日 0時) (レス) @page50 id: a82882ac10 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - トマトの王様さん» コメントありがとうございます!終わってしまいました…!楽しんで頂けたようで良かったです^^ここまで読んで下さりありがとうございました〜!! (2019年8月1日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
トマトの王様 - うわあぁぁぁぁぁ!遂に終わってしまった…!( ;∀;)読んでてとても楽しかったです。お疲れ様でした! (2019年7月31日 14時) (レス) id: 5390b171c6 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - arumo?さん» コメントありがとうございます!お疲れ様ですっ( ˇωˇ ) (2018年10月10日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
arumo?(プロフ) - お疲れ様です! (2018年9月29日 11時) (レス) id: ee4365cb85 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年9月9日 1時

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