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爪よりもガムよりも甘い【一松】 ページ5

兄弟皆と居間でいつも通りダラダラしていた僕はついうとうとしちゃって
次に目を覚ました時にはいつの間にか皆いなくなっていた。
つまり、居間に僕1人。

出掛けたのだろうか…
多分気を使って皆起こさなかったんだろう。



『こわい』



自分1人だけだと理解した瞬間、言い知れぬ不安が押し寄せる。
怖い。恐い。コワイ。
僕は今1人だ。1人この部屋にいる。
普段は騒がしいものだから、この静寂が妙に感じる。


嫌だ、1人は嫌だ。

誰か、僕のそばにいて。
独りは嫌だ。怖いよ寂しいよ。


気付いたら僕は自分の指を口元に持って行って、その爪を噛んでいた。
昔からの癖だ。不安になったりパニックを起こすとこうやって爪を噛んで落ち着こうとする。

皆からは止められるけれど、どうしてもこの癖から抜けられない。
僕の体はコイツの虜になったらしい。



「嫌だ……怖い……
みん、な…いな………嫌だ…こわ…い…」



ブツブツと呟きながら僕は爪を噛み続けた。
落ち着かない。元々短かった爪が更に短くなって、もう白い部分は無くなった。
それでも噛み続けるもんだから、血が出てきた。痛い。

でも噛む事はやめられない。
やめたらどうにかなりそう。



「…一松?」



不意に、声が聞こえた。

俺は声のした方を向くと、居間の入口から幼馴染みであり、俺が密かに想いを寄せているAが顔を出していた。



「…って一松!また爪噛んでる!」



俺を見るとAはギョッとした顔をして俺に駆け寄り、噛んでいた手を掴んで俺の口元から離した。

Aは「まったく…」と溜息を吐くと俺の両手を包み込むように握って、口を開いた。



「だから!爪噛んじゃダメだって何回も言ったじゃん!
あー、血まで出しちゃって…」

「ご、ごめん……」



いつもより強い口調で、でも何処か優しさを感じる物言いでAは俺に注意すると、血が出た所を見て顔を顰める。


良かった、1人じゃなかった。

Aが何やら言っている間、僕は1人心の中で安著の息を吐く。



「もー…どうして噛んじゃうかなぁ…

とりあえず絆創膏持って来るから、ちょっと待ってて」

「…!」



だが安心も束の間、Aはそう言うと僕の手をするりと離し、何処かへ行こうと腰を上げた。


…ヤダ。嫌だ。また1人になる。

1人は嫌だ、怖い。1人にしないで。置いてかないで。



「…一松?」



気付いたら、Aの手を掴んでいた。

*→←耳を塞ぐ理由【ヒロト】



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ルナストーン(プロフ) - *IJu*さん» なるほど…分かりました!ありがとうございます! (2020年10月14日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - ルナストーンさん» バンは『七つの大罪』って作品に出て来るキャラですよ〜! (2020年10月14日 23時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - *IJu*さん» すみません…あの…バンって…なんの作品のキャラクターなのですか? (2020年10月14日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 蓮さん» 了解しましたー!お話が思いつき次第更新いたしますので、少々お待ち下さい! (2016年8月2日 22時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゴウセルのデレデレお願いします! (2016年8月2日 21時) (レス) id: fde5658c77 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年2月2日 23時

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