探偵フクロウと独りのハイエナPart16 (ページ16)

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▼フクロウの告白ページ16

皆帆「……A。ううん、李音ちゃん」

A「は……ハイ」

不意に呼ばれた、2つの名前。
どちらも呼ばれるとは思ってなくて、返事が裏返ってしまった。

私の名前を呼んだ和人は、おもむろに私の手を握る。
その間も視線はじっと私を見つめて。
私もその綺麗なエメラルドみたいな瞳からそらせないでいた。

ﾄﾞｷﾄﾞｷと胸が高鳴る。
この鼓動が和人にも聞こえていないといいんだけれど。

そわそわと落ち着かない中、私は彼の次の言葉を待っていると、和人はそっと目を細めてから口を開いた。

皆帆「……好きだよ」

A「う……うん」

皆帆「大好き」

A「…うん」

皆帆「世界で1番好きだ」

A「…………」

皆帆「好き、好き、大好き。
今まで、そしてこれからも僕は……」

A「ち……ちょっと待って…くれる？」

そろそろ頭がパンクしそうになった所で私は1度和人の言葉を遮ってしまうと、和人は「ダメ」とからかうように笑い、お構い無しに続けた。

皆帆「大好きだよ、A」

A「も…もう、いい……」

皆帆「ずーっと好き。大好きだよ」

A「もう、いいよ…じ、十分伝わったから……」

皆帆「キミがいないと不安になるぐらい大好き。
ずっと傍にいて欲しいくらい大好き。

キミのその瞳も、髪も、肌も、鼻も、唇も、腕も、手も、足も全部……」

A「……待って、そこまで行くと流石に引く……」

皆帆「あ、やっぱり？」

そろそろ頭がキャパオーバーになりそうになったが
続けられた言葉があまりにも重過ぎて正気に戻ってしまった。

しかも手を何度もふにふにと猫の肉球を触るかのように握るから、思わず身も引いてしまったら、途端に和人はｹﾛｯとした顔をして笑った。

コイツ……こんな時にまで私をからかいやがって……
心臓に悪いったらありゃしない。

和人も「最後は流石に気持ち悪かったよね」と肩を竦めた。

皆帆「でも、好きなのは本当だよ。
大好きなのも、不安になるのも、傍にいて欲しいのも。全部本当」

A「そっ……そう」

皆帆「あ、でも〝世界で1番〟は嘘。
父さんもが僕の中では世界で1番だから。キミはその次かな？」

A「………………そう」

……いや、気持ちはわからなくもないよ。
だって皆帆さんは良い人だったから。

何ならあの人は私の中では神様だから。

でもやっぱり1番じゃないのは……ちょっと、悔しい。