△リボンが203こ▽ ページ10
Aと出会った時から、視線は感じていた。
最初は単なる勘違いかとも思ったが、ここまで来て確信した。
変わらずこちらを凝視する、1人の人物がいる。
背は皆帆と同じぐらいで、格好は男っぽいが身体が細身なのでどちらかハッキリとはしない。
また、顔も帽子で隠れていてわからない。
電柱やら看板に隠れ、上手く尾行していると思っているようだが、人間観察に長けた皆帆にはバレバレだった。
「(犯人は2人組……やはりこの予想は当たっていた。
相手もこちらを警戒して、もしもの為に1人は別行動させているんだ)」
自分達が相手に警戒されないよう配慮しているように
相手も自分達に警戒されないよう動いていると考えた皆帆は、自分達を尾行する人物を見て思考する。
おそらく、こちらが捕まえようとしたら助けようと襲いに来るはず。
その作戦を逆手に考え、尾行している人も目的地である路地裏に誘い込もうと考えた皆帆は、スマホを用意して、Aに気付かれないよう皆に連絡する準備をする。
予めイナラインに文章を打ち込み、路地裏に入ろうとした所で皆帆はその文章をグループに送った。
そうしてそのままAと松風と共に路地裏の奥へと入ろうとしたその時だ。
「っ……!!」
不意にこちらに人が駆け寄って来たのは。
そのひとはまさに今言っていた、自分達を尾行していたはずのソレで、その人はガッとAの腕を掴むと、慌てた様子で告げた。
「ダメです、Aさんっ…!これは罠です!」
「……!?」
その人の声を聞いて、皆帆は目を大きく見開く。
だってその声は聞き覚えがあったから。
随分と久しく聞いていなかった声だから。
松風も驚いた顔をして彼を見遣り、Aはパチパチと目を瞬かせると、きょとんとした顔で呟いた。
「まなべ……?」
「……真名部?今、真名部って言った?」
「…あっ」
彼女の呟きは傍にいた松風にも皆帆にも届き
松風は顔を上げてAを見遣ると、Aはハッと片手で口を覆った。
まなべ……真名部?
皆帆は今一度、目の前の彼を見遣る。
普段はしない、カジュアルな格好。
頭も1つ結んで纏め、鍔付きの帽子を被った姿。
しかし、恐る恐る上げられた顔は全く以前と変わりなく、何処か諦めたような顔をして皆帆を見遣ると、彼は眉を下げて微笑んだ。
「……久しぶりですね、皆帆くん」
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*IJu*(プロフ) - あずさん» はじめまして!コメントありがとうございます!一気見するぐらい夢中になって頂けて嬉しいです(´˘`*)お褒めの言葉もありがとうございます、恐縮です…!これからも更新頑張りますー! (2021年2月8日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
あず - はじめまして…!今日このシリーズを見つけて、一気見してしまいました…!!!真名部が少しずつ追い詰められていく様子が細かく描写されていて凄く読み応えがありました…!!本当にすごいです!!これからも応援しております…!! (2021年2月7日 17時) (レス) id: 9c7942e2bb (このIDを非表示/違反報告)
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