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△リボンが85こ▽ ページ39

服の隠し場所も決まった事なので、真名部は早速着替える事にした。

紙袋の中から真新しいシャツとズボンを取り出し
Aに着替える事を伝えると、Aは「うん、わかった!」と頷いて、真名部を残しあっという間に部屋から出て行ってしまった。


そのまま留まるのかと思っていた真名部は
流石にそこまでデリカシーが欠けているワケではない事に安堵した。



「あ、そう言えばね、まなべー!」



…と、真名部は着ていたワイシャツのボタンに手を掛けた所で、再び扉が開かれた。

真名部は思わずボタンを外していた手を止めて扉の方を見遣ると、案の定そこにはAが。


彼女はあっけらかんとした態度で入室すると
驚いて固まる真名部に悪びれもない様子で言葉を続けた。



「ママが寝るお部屋は入っちゃダメだよ?
あそこは私も入っちゃダメって言われてるんだ〜!

ママにバレたら、きっとすっごく怒られちゃうから
絶対に入ったらダメだよ?」

「わ……わかり、ました…」



Aの忠告に真名部は唖然としながらも返事を返すと、Aは満足気に頷いて「じゃあ待ってるね!」と扉を閉めて出て行った。

その後、数秒固まったままだった真名部だが
我に返るとようやく動き出して、ボタンを一つ一つ丁寧に外して行く。



「(彼女にはノックを覚えて貰わなければなりませんね…)」



着替えている間、真名部は思考を巡らせる。

あの様子だと、きっと礼儀作法もまともに知らないのだろう。

まだ着替え始めだったから良かったものの、もう少しタイミングが遅れていたら…と考えると真名部は思わず顔を赤く染めた。


だがふと、彼女が言っていた事を思い出す。

この部屋の隣の部屋が、彼女の言っていた『母親が寝る部屋』だ。

彼女はそこには入ってはいけないと言っていた。
なんでも、彼女自身も入ったら怒られるんだとか。


無論、最初から入るつもりはなかった。
彼女の母親は聞いている限りだと相当、整理整頓が出来ないらしい。

服だけでこんなに散らかし、下に至っては完全な汚部屋。そんな風にした人の部屋も似たように散らかり放題なのだろう。

いや、もしかしたら下の部屋以上に酷い有様かもしれない。


そんな所、入りたくもない。
言われなくても絶対に足を踏み入れようとはしなかっただろう。



「(…ですが部屋の構造的に、あの時の天井の音の発信源は…)」



おもむろに真名部は顔を上げて、壁の方を見遣る。

その壁の向こうは丁度、彼女の母親の寝室だった。

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*IJu*(プロフ) - 僥姫さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです( ´ ▽ ` ) (2020年7月5日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
僥姫 - やばい 面白い (2020年7月2日 10時) (レス) id: b3f17b46d5 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 黒音_幻月さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです|ω`)これからも頑張らせてもらいます〜! (2020年6月18日 1時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
黒音_幻月(プロフ) - 続編おめでとうございます。少しずつ主人公ちゃんに心を開き始めている真名部くんや、この先の展開にいつもワクワクしながら読み進めています。これからも応援させていただきます…! (2020年6月17日 6時) (レス) id: 71e1357481 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年6月13日 1時

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