【イナイレ】シッカーラプンツェル【不動明王】

◇ラプンツェルは名前を知る ページ23

「フドウ……アキオ……」



名前を聞いて、私は忘れないよう復唱。

記憶力は悪くはないけれど、人の名前は間違えたら失礼だって本に書いてあったから。


復唱する時に1度、彼から視線を移して正面を向いたけど、すぐにまた彼の方を向くと私は微笑みながら続けた。



「じゃあ、フドウだね」

「…いきなり呼び捨てかよ」

「サクマとゲンダはそれで良かったから…つい。
それとも、くん付けの方がいい？ちゃん付け？」

「いや……もういいよ、なんでも。好きに呼べ」

「じゃ、フドウにする〜！」



彼…ううん、フドウは何処か呆れたように溜息を吐いて、横目で私の方を見遣る。

でも彼の名前が知れて少し嬉しかった私には、その視線には気付かなかった。



擽ったい気持ちが胸の奥から込み上げる。

思わず1人でｸｽｸｽ笑っていたらフドウに睨まれてしまった。


なんとなく、フドウと仲良くなれた気がした。

気がした、だから多分あっちからしたら仲良くなってるとは思ってないんだろうな。


だけど、さっきよりは幾分か話しやすくなったよ。



「……ねぇ、フドウ」



だから私は、フドウにそのままずっと気になってた事を聞いてみる事にした。

早速、彼の名前も呼んでみたりして。


そうしたらフドウは面倒くさそうな反応をしながらも返事を返してくれた。



「なんだよ、早速」

「どうしてフドウは私も連れ出そうとしたの？」



尋ねた途端に、顔を顰められた。

聞いてはいけない質問だったのかな。


って思ったけれど、彼は視線をやや下に落としながらも、ちゃんと答えてくれた。



「単純に、お前にはあの2人と話してる所見られちまったようだしな。ヘタに周りに広められる前にこうして攫って証拠を潰したってワケ。

あと、丁度新しい駒欲しいって思ってた所だったしな」

「コマ……？」



フドウの言葉の中によく分からないワードが出て来て、私は思わず眉を顰めた。

そうしたら、またフドウは面倒そうな顔をして「なんでもない」って適当に言って話を終わらせた。


コマ、って糸で回す方のコマかな…？

それに2人と話している所見られて、ソレを広められたくなくて私を連れ去ったなら、意味無いんだけどなぁ。


だって私の話なんてだーれも信じてくれなかったんだもん。



……言ったら車から放り出されそうだから言わないけど。

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