【イナイレ】シッカーラプンツェル【不動明王】

◇ラプンツェルは尋ねた ページ24

「ね、サクマとゲンダは何処にいるの？」

「今向かってる所だ」

「今向かってる所は何処？」

「ソレは着いてからのお楽しみ…ってな」

「そこは楽しい所？それとも面白い所？」

「まぁ、フツーよりかは楽しい所だろ」

「面白い乗り物とかある？美味しい物売ってたりする？」

「……テーマパークに向かってんじゃねーからな？」



その後も続けて幾つか疑問を尋ねる。
するとフドウは時々嫌な顔をしながらも、淡々と私の質問に答えてくれた。

でも何処か勿体ぶるような答え方で、ほとんどは私の疑問には答えられてなかった。
とりあえず、遊園地みたいな所じゃないから残念。


……まぁ、こんな何も無い所に遊園地なんて無いと思うけれど。


車は随分と殺風景な所を走っていた。

近くには海もあって、なんだか同じような建物が並んでいる。



これは……倉庫？



「…着いたぞ」

「えっ…？」



不意にフドウがそう言った。

その直後、車が停車してフドウは何も言わずに車のドアを開けた。


私はフドウの方を見てから外を見る。

……何も無い。目の前に海があって、倉庫みたいな建物がある。それだけ。


此処がフドウの言っていた、秘密基地みたいな所…？

確かにぽいかもだけれど…なんだか、想像していたのとは随分と…その、地味だな……



「おい、何ボーッとしてんだ。さっさと出ろ」

「あ…うん……」



車の窓越しに外を眺めていたら、反対側からフドウの催促する声が。

私は渋々頷いて車から降りると
途端に海のにおいが鼻を刺激した。


真夜中だから海は真っ黒で、真っ暗。
ゆらゆらと生き物のように揺れる波が月の光を反射していて、ちゃぷちゃぷと波の音が聞こえる。


海は初めて来たけれど……どうせなら、明るい時に見たかったなぁ……

でも遠くに見える明かりはとても綺麗だった。



「……フドウ、此処が目的地？何にも無いよ？」

「……」



一通り周りを見渡したけれど、やっぱり何にも無い。

私は視線をフドウの方に向けるが、フドウは海の方を見たまま動かなくなってしまった。


そうして彼は不意に口元をﾆﾔﾘと歪めると、呟いた。



「………来たぞ」



次の瞬間、前方から黒い影が迫って来た。

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