目が覚めたら猫になってたんですけど・続ノ続・【文豪ストレイドッグス】

猫拾月 ページ19

芥川が口を開く。


「なぜ、かばう？なぜ、護ろうとする。

人虎を渡しさえすれば助かるものを。
その人虎は生きているだけで周囲の人間を不幸にする。


それが業。」



『莫迦、云わないで。』


ふ、と嗤う。


『生きているだけで周囲の人間を不幸にする？
それはまるで、生きていてはいけない人間ということじゃない。』


「その通りだ。周りに迷惑をかける。ただ弱いだけで護ってもらっている。
生きている価値など――――『無い。』・・・そうだ。」



『生きている価値など無い、ねぇ。
何故、あんたが決めるの？

生きている価値っていうのは、決まってるものじゃない。


誰も決められない。


自分でだって…。


いいじゃない。


迷惑かけたって。


いいじゃない。


弱くったって。


いいじゃない。


護ってもらって。



人間、迷惑をかけ、かけられ生きていくものなのよ。
誰も、否定できない。

口先だけでは否定しても、その事実は変えられない。


業だって？


そんな業、だれでも背負ってる。


敦君は、生きている価値のない人間なんかじゃない。
価値とか、人間は物じゃない。


一生懸命、生きてるのよ！


それを、否定するのは、赦さない！ッ・・・」


意識が、薄れていく。
敦君の声も遠のいていく。


私は真っ暗な世界に落ちて行った―――――。

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