花弁が八枚 ページ9
「一千万、確かに用意しました。あの子を返してください。」
ある家の一室。
私と、あの男と、中也さんが居た。
中也さんは、一人じゃ危ないからと着いて来てくれた。
正直、心強い。
目の前の男は少しばかり、狼狽えていた。
本当に用意するとは思わなかったのだろう。
「さあ、返してください!」
「・・・・そ、それは、」
「あァ?この期に及んで返さねぇってのか?こいつに云ったんだろ?一千万、用意したら子供を返すって。」
男は中也さんの少し(?)乱暴な口調に気圧された様子だった。というか、圧も凄い。
「い、一千万用意したからと云って、此れから先、育てられるとは限らないだろう!」
「そんなっ!」
そんなの、約束と違う。
中也さんははああ、と盛大な溜め息をついた。
「・・・そんなことだろうと思ったぜ。」
「・・・は?」
「手前、こいつが欲しいんだろ?」
「ええっ!?」
私?何で?
困惑する私を他所に、中也さんは男を睨み付け、云った。
「子供を餌に、こいつを自分の傍に縛りつけようって魂胆だろ?こいつの大切な子供を自分の元に置き続け、最後にはこいつが泣きつくように仕組んだんだよなァ?無理難題押しつけて。」
「ぐ、」
「何でこいつを自分のモンにしたがってんのかは知らねぇ。純粋に想ってんのか、それとも別の何かか。或いは顔か?純粋に・・・ってのはねぇか。こんなばかり馬鹿みてぇなことしてるもんな。
ま、俺にとってはどうでも良いけどな。」
中也さんは立ち上がり、男に近づいた。
そして、男の目の前の机をばん!と叩く。
「____生憎だが、Aは俺のモンなんだよ。」
どんな顔かは判らなかった。
だけど、男は顔を真っ青にして、ガタガタと震えていた。
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椛 - すみませんコメ欄でパスワードをご教示されないという所を読んでいなくて不躾な質問をしてしまいました。申し訳ございません (2022年3月28日 18時) (レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
椛 - 弱虫彼女の言行録【中原中也】のパスワードをお教えください! (2022年3月28日 17時) (レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
ミント - とても感動しました! (2020年8月17日 21時) (レス) id: ccb520a109 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - とても感動しました! (2020年8月17日 21時) (レス) id: ccb520a109 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨花火(プロフ) - あぁーもーこの作品す☆き☆これからも頑張って下さい!! (2018年8月19日 22時) (レス) id: c6a781ea39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あも | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huzisaki5
作成日時:2018年5月22日 20時