花弁が七枚 ページ8
「まァ、貰ったって云っても別に、強要する訳じゃねぇから、安心しろ。」
「はぁ・・・」
「嗚呼、そうだ。このアパート、引き払って家に来い。」
「ええっ!?」
一緒に暮らすってことですか!?と迫れば、何食わぬ顔でそうだ。何か問題あるか?と云い放たれた。
問題も何も・・・
「良いか。俺は手前を貰ったんだ。云うことは聞け。」
____良い子だから、なァ?
耳元で囁かれ、びくっと体が反応する。
・・・嗚呼、駄目。この声・・・。
「でも、矢っ張り、」
「何か問題でもあんのか?」
「あります。」
「何だ?」
云ってみろ。と促されるまま、私は告白する。
「抑も、私がお金を必要としているのは子供を取り戻すためです。」
「・・・子供?嗚呼、そういや、あの子をとか云ってたな。」
「・・・その子供は、私の子です。」
そう告げると、中也さんは目を見開いた。
「手前・・・幾つだ?」
「十八です。」
「十八って、何でまた・・・父親は?」
「・・・・・判ってます。子供は、彼の元に居ます。」
「・・・詳しい話を聞かせてもらえるか?」
「はい。彼は、私の通っていた学校のすぐ近くに住んでいました。彼とは挨拶を交わす程度の関係でした。・・・でも、ある日、彼に無理矢理連れられて、」
中也さんは眉を寄せ、云わなくて良いと云った。
「・・・その後、子供が出来たのです。
私は産みたいと思い、産みました。でも、あの男のことは好きでも何でもなかったので、一人で育てていくつもりでした。でも、あの男は女が、しかも学生が育てられるわけないだろうと連れ去っていったのです。
返してほしいと頼むと、では、一人でやっていけることを証明しろ。一千万、持ってきたら返してやると。」
「・・・最低な男だな。それで、一千万必要だったって訳か。」
「はい。だから、あの子を取り戻したら、一緒に暮らそうと・・・」
「へぇ、で?何が問題なんだ?」
「否、だから、私は子供と、」
「一緒に暮らせば良いだろ?俺のところで。」
「・・・本気で云ってます?」
「俺は何時だって本気だ。子供がいたって構わねぇ。」
だから、家に来い。
そう云って笑う彼を見て、私は思った。
彼は、思ってた以上に、包容力というものがあるらしい。
「何から何まで・・・ありがとうございます。」
____彼に、全てを委ねよう。
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椛 - すみませんコメ欄でパスワードをご教示されないという所を読んでいなくて不躾な質問をしてしまいました。申し訳ございません (2022年3月28日 18時) (レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
椛 - 弱虫彼女の言行録【中原中也】のパスワードをお教えください! (2022年3月28日 17時) (レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
ミント - とても感動しました! (2020年8月17日 21時) (レス) id: ccb520a109 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - とても感動しました! (2020年8月17日 21時) (レス) id: ccb520a109 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨花火(プロフ) - あぁーもーこの作品す☆き☆これからも頑張って下さい!! (2018年8月19日 22時) (レス) id: c6a781ea39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あも | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huzisaki5
作成日時:2018年5月22日 20時