【文スト】中原さんに貰われました。【中原中也】

花二十輪* ページ40

両親はとても仲が良い。
父は職場でも一、二を争うほどの愛妻家で、母も父のことを心から愛している。

もちろん、二人とも私たちのことも愛してくれている。

でも、それでも、父の一番は母で、母の一番は父なのだ。

私はそんな両親が大好きだから、それで良いのだけれど、何で、そこまで愛せるのだろう、と少し、ほんの少し、疑問に思う。

両親がどう出会ったのか。何故結ばれたのかを私は知らない。物心ついたときには父は私の父であったし、母の夫だった。

私が関わってるんだろうなぁとは何となく判るけど、父も母も話してくれない。
話さないと決めたのか話さなくても良いと判断したのかは判らない。

ただ一つ、確かなのは、私は父の子ではないということだけだ。

一時期はちょっと不安定なってたけど、今は気にしていない。だって私は誰がなんと言おうと中原中也の娘なのだから。

沢山の愛情を注いで育ててくれた人が、親なのだと私は思っている。

私を抱っこしてくれた人。頭を撫でてくれた人。お風呂で髪を洗ってくれた人。一緒に眠ってくれた人。悪夢を見て泣いていた私をあやしてくれた人。

それは、お父さんだから。


それにしても、矢張り、両親は仲が良すぎる。


最低でも週に三回は母は腰を痛そうにしている。
最低でも、三回だ。

いずれ三人目が出来るんじゃないかな？

むしろ、十三年経って、二人の子供が文也だけなのが不思議なくらいだ。

子供の前でも平気でいちゃついている。

この前なんか二人がリビングでキスしているのを目撃した。
もう慣れたけど。

仲の良さに辟易することも多いけど、羨ましいとも思う。

私もいつか、結婚して二人のような夫婦になりたいな、と思ってる。

相手なんて、居ないけど。

仲が良すぎる両親が私は大好きなんだ。

終わり←花十九輪

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す