【文スト】中原さんに貰われました。【中原中也】

花七輪 ページ27

三歳の子供に判る筈もない問いだが、太宰は気づいていた。
光里は周りの子供よりも、聡いことを。
本当は、薄々判っているのだろう。中也が本当の父親ではないことを。

それを踏まえての、問いだった。

「・・・・パパは、パパだよ。」

光里はもう一度、答える。

「だって、光里に初めてプレゼントくれたのはパパだよ。光里にもじを教えてくれるのも、こわい夢見たときに一緒に寝てくれて、優しいお歌歌ってくれるのも、頭撫でてくれるのも、だっこしてくれるのも、パパなんだよ。

光里のことぎゅーってして、大好きっていってくれるのも、パパだよ！ママにも、おなじだよ。

だから光里のパパは、パパだけだもん！」

「・・・・そう。」


随分と愛情を注いでるねぇと、太宰は笑う。元相棒の子煩悩ぶりには驚かされたという風だ。


「光里ちゃんは本当にパパが好きなんだね。」

「うん！あっ！ママもだよ！それとね、治おにいちゃんのことも、好きだよ！」

「あはは、それは嬉しいなぁ。でも、それ、パパに云っちゃダメだよ。ほんとに殺されちゃうからね・・・。」


そして、太宰は呟いた。

「全く。中也は幸せ者だよ。」


◇◆◇

「楽しんできたかい？」

「あ？そりゃあ楽しんできたぜ。夜は特にな。」

「中也さん！あの、本当に光里のこと、ありがとうございました。」

「あ、手前、何もしてねぇよな？」

「だから、何かするわけ無いじゃないか。私のこと、なんだと思ってるわけ？」

「女の敵。」

「あっ、そう。」

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