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花弁が二枚 ページ3

「・・・大丈夫か?」

その人は酷く仏頂面だった。

けれど、外套を私の身体にかけてくれ、腰が抜けた私を抱き上げる手は優しかった。

家は?と訊かれたので、場所を伝えると、そう遠くないな。と呟いて、私を家まで届けてくれた。


お礼にお茶でも、と云うと、いや、別に大したことはしてねぇから。と。


それでも食い下がると、彼は渋々家へ上がってくれた。


「本当に、ありがとうございました。」

「だから、別に・・・。まぁ、それで満足するなら良いけどよ。

それより、礼を云うくらい嫌だったんなら何で・・・」

「・・・・どうしても、お金が必要なので。」

「まぁ、そりゃそうだろうな。」

でなきゃ、あんな爺に自分を、売らねぇもんな。

そう云う彼に、随分露骨に・・・と思うけれど、事実だから仕方ない。


「あの、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「あ?あー・・・、・・・中原だ。」


口を少し濁していた。

あまり、云いたくなかったのだろう。と、反省をする。

彼は恩人だから、彼の嫌なことはあまりしたくないと思ったのに。

「で?手前は何ていうんだ?」


「私、ですか?」

「此方は名乗ったんだからな。」

「あ、そうですね・・・。


私は______




_____・・・金子Aと申します。」


「金子A・・・」


彼____中原さんは、私の名を呟いたあと、ふっと笑って、



「善い名前だな。」


と云った。

その時に、微かに、本当に微かに、私の胸の奥で、


トクン


と、小さな音が鳴った。

◆◇◆
「本当に、ありがとうございました。」

「おう。」

中原さんは階段を降りて、こちらを向いた。

「なぁ、」

「何ですか?」

「・・・自分の身体は大事にしろよ。」

「っ!」

中原さんの姿が見えなくなって、私はへなへなと座り込んだ。

「なんで、」


_____あんなの、ずるい。

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- すみませんコメ欄でパスワードをご教示されないという所を読んでいなくて不躾な質問をしてしまいました。申し訳ございません (2022年3月28日 18時) (レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
- 弱虫彼女の言行録【中原中也】のパスワードをお教えください! (2022年3月28日 17時) (レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
ミント - とても感動しました! (2020年8月17日 21時) (レス) id: ccb520a109 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - とても感動しました! (2020年8月17日 21時) (レス) id: ccb520a109 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨花火(プロフ) - あぁーもーこの作品す☆き☆これからも頑張って下さい!! (2018年8月19日 22時) (レス) id: c6a781ea39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あも | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huzisaki5  
作成日時:2018年5月22日 20時

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