花弁が一枚 ページ2
青年は夜の街を歩いていた。
否、青年なのか。彼は二十歳になっていたが、如何せん、背が低い。
青年、ということにしておこう。
青年は悠々と夜の街を歩いていた。
それは仕事終わりのこと。鼻歌混じりで帰路につく。
だが、その時、不快な音が耳に入った。
女と男の声。
此処は夜の街。
そんなものは聞き慣れていて、普段なら聞き流すだろう。
────女の声がとても幼く、嗚咽混じりの、でなければの話だが。
いや、やめて、とそんな言葉が時折混じっている。
無理矢理なのか、それとも、合意はしたが、それは不本意なもので、その最中に嫌気が差したのか。
どちらでも良い、と青年は思った。
思わず立ち止まったが、自分には関係のないこと。関わっても、面倒なことになるだけだ。
再び、足を動かそうとした、その時だった。
「おねがい・・・たすけて、だれか・・・」
おねがい、おねがい、と懇願する声。
青年は、それでも無視をするほど、冷酷にはなれなかった。
「くそっ!」
青年は声の聞こえる路地に入る。
「な、何だ、おまえっ・・・!?」
「うるせぇ。糞野郎。女泣かせて自分勝手に抱いてんじゃねぇよ。」
そう言い捨てて男に蹴りを入れる。ぐっとくぐもった声をあげ、男が仰向けに倒れる。
無様な格好だな。と青年はそれを鼻で嗤い、女の方へ視線を向けた。
茫然と、涙で顔を濡らした女がそこに居た。
不覚にも、綺麗だと思った。
「あ、・・・」
「・・・大丈夫か?」
374人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
椛 - すみませんコメ欄でパスワードをご教示されないという所を読んでいなくて不躾な質問をしてしまいました。申し訳ございません (2022年3月28日 18時) (レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
椛 - 弱虫彼女の言行録【中原中也】のパスワードをお教えください! (2022年3月28日 17時) (レス) id: 9bee9bd17c (このIDを非表示/違反報告)
ミント - とても感動しました! (2020年8月17日 21時) (レス) id: ccb520a109 (このIDを非表示/違反報告)
ミント - とても感動しました! (2020年8月17日 21時) (レス) id: ccb520a109 (このIDを非表示/違反報告)
五月雨花火(プロフ) - あぁーもーこの作品す☆き☆これからも頑張って下さい!! (2018年8月19日 22時) (レス) id: c6a781ea39 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あも | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/huzisaki5
作成日時:2018年5月22日 20時