名探偵夫人【文スト】

七 ページ8

＿＿＿初めて誰かを守りたいと思ったのは、彼女だった。


昔は可愛らしい少女、今は美しい女性。

清楚で謙虚でおしとやか。自分は少し後ろを歩き、余計な事をせず、さりげなく夫をたてる。

皆口を揃えて云った。

＿＿＿素晴らしい奥様ですね。


確かにそうだ。

だけど、だから僕は彼女を選んだわけじゃない。
完璧じゃなくても結婚していた。

何故なら好きだから。

可愛くて、か弱そうに見えて、芯の強い女の子。

周りの子供は皆、何でも知りすぎた僕を怖がったのに、彼女だけは笑って、

＿＿＿『乱歩様はお話に出てくる名探偵みたいですね！』

そう云ってくれたんだ。

両親が死んでしまい、ずっと離れていたけれど、忘れたことは一度もなかった。
またあの笑顔に逢いたかった。

本当は、凄く怖かったんだ。

この求婚を受けてくれるだろうかって。

だけど、君はあの笑顔で受け入れてくれた。

僕が好きなのは、清楚で謙虚な周りの云う、素晴らしい(、、、、、)奥様なんかじゃなくて、優しくて可愛くて、笑って僕を受け入れてくれたAなんだ。

ねぇ、A。

僕の可愛い奥さん。



これからもずっと＿＿＿＿＿



＿＿＿＿愛してる。

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