20：行くあて〜シャルナークSIDE〜 ページ22
少年の言葉に俺は特に驚きもせず、知っているの。 とだけ返した。
少年は餌を欲する金魚のように口をパクパクとさせる。
……団長が、すごい子どもがいる、と言っていたけど、本当にすごいのだろうか。
俺に驚いているようだし、正直念能力の使えないただの一般人に重症負わされる時点で戦闘の才能はないと言っていいだろう。
……コイツ自身、確かに念は使えるようだけど、オーラの量もそう多くはない。
団長がそこまでコイツを目をかける意味は、俺には到底理解できない。
「しゃ、シャルナークさんでいらっしゃいますよね……？」
焦点の定まらない瞳を見る限り、俺相手に恐怖しているのだろうか。
プルプルと震えながら分厚い本を握りしめ、少年は、ベッドから転がり落ちた。
大丈夫？ と声をかけ手を差し伸べると、少年は首を左右に勢いよく振って、大丈夫です。 と後ずさる。
「……俺のこと、怖い？」
さっきの冷静な対応に比べ、あまりに態度が急変したため、なんとなく、そう聞いてみた。
せっかく手を差し伸べたのに、大丈夫と突き返し、後ずさる姿を見れば、誰だって怖がっていると認識するだろう。
俺が小さくため息をつくと、少年はぼそぼそ、と何かを告げる。
「……ので」
うまく聞き取れなかった。
そう、俺が言うと、少年は今度は頬をほんのり赤く染めて
「お、恐れ多いので…」
と答えた。
「え」
思わず間抜けな声が出てしまう。
「……え、恐れ多いって、何が？」
さらに聞き返すと少年は口籠りながら、えと…とこちらに目を合わせた。
「あの幻影旅団のシャルナーク様に触れるなど、恐れ多くてとても……」
……何を言っているんだこの子は。
初めていわれたその言葉に、さすがに動揺を見せてしまう。
何、触れるのが恐れ多いって。 え、ていうか、シャルナーク“様”？
俺が困惑していると、少年はズイッと俺の顔写真が乗った分厚い本のページを近づけ、さらに変なことを言われる。
「お、恐れ多いし、厚かましいことは分かっておりますが、サインと拇印ください」
この言葉で吹いた。
21：行くあて〜夢主SIDE〜→←19：行くあて〜夢主SIDE〜
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 424人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
RT - とても面白いです！続編頑張ってください！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: da0e7ea281 (このIDを非表示/違反報告)
オレンジ(プロフ) - 続編が出るのを心からお待ちしております！ (2018年2月23日 13時) (レス) id: 471f321dcd (このIDを非表示/違反報告)
シベリアンハスキー(プロフ) - 凄く続きが気になります！！更新お願いします！頑張ってください！！ (2017年10月29日 3時) (レス) id: a9a6ccf11e (このIDを非表示/違反報告)
お凛 - すごく面白い！続きがとても楽しみです！更新頑張ってください^ ^ (2017年9月7日 13時) (レス) id: 86a1ba0e04 (このIDを非表示/違反報告)
カクテル - 更新早くお願いします！（＾∇＾） (2017年8月16日 16時) (レス) id: 1f958aadd5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年3月25日 2時
