温度差が33°C ページ35
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「いっくよー」
『え…………ほ、本当に投げるんですか………??』
家入にはペン、夏油には消しゴム、Aの手にはこの中で一番投げられると痛いであろう定規が弱々しく握られている。
家入の合図と共に二人の手からペンと消しゴムが五条をめがけて飛び込んでいく。
定規はワンテンポ遅れてゆっくり、優しく飛んでいく。
三つの文房具は五条の手前でピタリ、と動きを止め跳ね返る。
「うん、いけるね」
アッサリと余裕そうに三つの文房具を手にした五条を見てげ、と声を漏らす者もいれば真面目そうにその技について問う者もいる中一人、目を輝かせている者がいた。
『(何今の、カッコイ〜〜〜!!!)』
えぇ、すごっ!!!すごいな〜、格好いいな〜、今度霞の前でやってもらいたいな〜、喜ぶかな?いつか生五条悟!って言って悶えてそうだな〜、それとも写真撮ってください!とかかな?
とAが脳内で分家の子供の反応を考えていると五条が何やら難しそうな話を始める。
おうとま?りそうす?何だそりゃ…と先程とは打って変わってAの頭は混乱に陥っていた。
「出しっぱなしなんて脳が焼き切れるよ」
家入の声で我に返り、うんうんと頷く。チラリ、と夏油を見てみると何処か浮かない顔をしているのをAは見逃さなかった。
あれは、ソーメンの食べ過ぎですね…!!と一人キメ顔をしていると夏油はその視線に気付き困惑した様子で薄く笑った。
「傑、ちょっと痩せた?大丈夫か?」
『(ソーメンの食べ過ぎですね…!!)』
心配をしたように夏油の顔を覗き込む五条を見てAはまた何故かキメ顔をする。
最近、精神年齢が下がってきていないだろうか、此方側としてはそれがとても心配だ。
「ただの夏バテさ。大丈夫」
「ソーメン食い過ぎた?」
そう呑気に聞く五条には視え過ぎるのを防ぐサングラスの所為か、夏油の表情まではよく分からずにいた。
『…………あ、あの……』
「………ん?何だい?」
『も、もしもですけど……その、悩み事があれば、い、言ってくださいね!!私"達"はいつでも夏油さんのみ、味方ですので!』
豆鉄砲をくらった様に目を見開く夏油はゆっくりと笑って呟いた。
「……………………そんなに急な変化球は私のバットでは打てないから、少しだけ心の準備をさせてほしいな。なんてね」
あまりにも小さい声で呟く為Aの耳には届くことは無かった。
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ゆっくり - 天才羨ましい、、そっか···神ってマジでいるんだ··· (2022年10月23日 10時) (レス) id: 7a9a52b587 (このIDを非表示/違反報告)
マリオット - 作者様一言よろしいでしょうか?スゥ貴方は神です!!!!!!(大声)天才です!!!!!!!!!(大声) (2022年8月19日 15時) (レス) @page42 id: 4a1e7dbbbb (このIDを非表示/違反報告)
袋(プロフ) - 森さん» あ"り"がと"う"ござい"ま"す"(号泣)アッ……………あれ、???私ってもしかして東大生だったのですかね???(錯覚)あー、成る程。私は東大生で今とても良い職場に勤めているんですよね(血涙)??ありがとうございます… (2022年7月29日 21時) (レス) id: e716f9f425 (このIDを非表示/違反報告)
森 - 袋様、語彙力を分けて下さいません???こんな神作品を書けるなんて、さては東大生ですか?! (2022年7月29日 0時) (レス) @page37 id: 16b29645b2 (このIDを非表示/違反報告)
袋(プロフ) - ひめさん» ありがとうございます…!!そんな、……表現の仕方が素晴らしいだなんて………!!(照)これからも張り切って書かせて頂きたいと思います……!!頑張ります〜! (2022年7月16日 22時) (レス) id: e716f9f425 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:袋 | 作成日時:2022年2月27日 2時