. ページ17
どさどさどさ、と、慌てふためいてぶつかった机の上から積み重ねていた本が落ちる。
「な、んだ、これ」
午前7時。澤村大地は起き上がり、着替えてカーテンを開けたところだった。
今日の天気を見ようなんて、脳天気な事を考えて開けたカーテンの奥には、信じられない、いや、信じたくないような光景があった。
散乱した木と電柱。完全に横になった車。
まるで何か厄災が起きたような＿＿＿＿
澤村は朝食を取らず、捨ててあったリュックを掴み取って転送魔法を展開した。澤村の得意魔法の一つである転送魔法は、もう頭の中に魔法陣を思い浮かべるだけで発動するようになっていた。
行先はブルークリスタル魔法騎士学校、3-Aの教室。
澤村がどんなに早く登校しても、既に皆が揃っている3-Aの教室であれば、もう人はいるかもしれないと思ったのだ。
案の定、教室に着くと全員が揃っていた。先程の澤村のように、慌てているように見える。
「あ！澤村くん今来たの？！遅いよ！」
1番に澤村を見つけた及川徹は、声を上げる。逆にお前らが早すぎるんだ＿＿そう言ってしまいたいが、きっと冗談で言っているわけではないのだろう。
「及川、何があったんだ？」
そう聞くと、それには黒尾鉄朗が答える。
「今朝のニュース見てないのか？都市部にも魔物が溢れかえってるって話」
その一言に、澤村は酷く驚いた様子だ。いや、驚かない方がおかしいのかもしれない。なにせ都市部は牛島若利率いる魔導士の軍と魔法騎士の軍の本部だからだ。
「あの牛島若利でも止められなかったのか！？」
「ああ。色々手を尽くしてはいるらしいけどな。そういや丁度朝家に帰る時に爆発音がしたな」
爆発音がしたと言うなら何故澤村は起きれなかったのだろう。よほど疲れが溜まっていたのだろうか。
「ん？なんでクロちゃん外にいたの？」
及川の問に黒尾は答える。
「研磨に呼ばれてたからな。なんか世界がなくなるとかなんとか……」
「ちょ、なんで言わなかったのさそんな重要なこと！！」
黒尾の肩を掴んで思い切り前後に揺らす。
10回ほど揺らされた後で黒尾は及川の手を掴んで足をかけ、体が後ろに傾いたところで手を離した。どたっ、と音が鳴ったかと思うと、ごん、と頭がぶつかった。
「いったー」
それを黒尾が鼻で笑う。ああ、またこの2人の喧嘩だ、と、高校に入ってから何回も見た光景で、澤村はふっと笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：凛花 | 作成日時：2017年1月9日 16時
