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弐拾陸 ページ26

唐瓜が急いで駆けつけると、そこでは鬼灯と白澤が雪玉を片手に睨みあっていた。
……急いできたのにこれかよ。

「ちょ、てめ、狡いぞ!!応援とか良いのかよ?!」

「応援を呼んではいけないというルールはありませんので」

大の大人二人がマジな方向で雪合戦をしている。
唐瓜は白目を剥くことしか出来なかった。

「A、行こう」

『ほおずき様はいいの?』

「いいよ、ほっとこう」

完全やる気をなくした唐瓜はAの手を引いて人の少ない場所へと移動した。
雪の上に腰を下ろし、ふうと溜め息を吐く。

「寒くねぇか?」

『だいじょぶ』

彼女の返答に軽く頷いてから、唐瓜はやっと落ち着けるというように雪の上に転がった。
それを見たAは少し笑うと、彼の上に飛び乗る。

「ぐふぁっ!!!……ちょ、A……」

『きゃはは』

それから彼女も唐瓜の隣に寝転がった。
遠くから皆が争う声が小さく聞こえてくる。

『Aね』

「うん?」

『……Aね、すっごくたのしい!!』

――何を以て楽しいと言ったのかは分からなかったが、唐瓜は一瞬きょとんとしてから小さく笑う。
そして、彼女の頭を優しく撫でてやった。

「そーか。俺も楽しいよ」

『うん!!』

二人で白色の空を見上げていると、その視界に白髪の鬼が写った。
茄子だ。

「なぁなぁ、一緒にやろうぜ〜雪合戦」

「……俺らはパス。なんかもうやる気ない」

「そなの?んじゃ、俺もここにいよーっと」

茄子もAを挟んで雪の上に寝転がる。
そして、Aに聞いた。

「こんなとこで何の話してたの?」

『……ないしょ』

「なんだよそれー」

三人で一頻り笑った。








「辛」という文字に、一本棒を足すだけで「幸」という文字になる。

その行為の通り、幸せを掴む切っ掛けはちょっとしたものなのだ。

そう、誰しもが幸せになれる権限を持っている。

幸せでないのではない、幸せになろうとしていないのだ。


Aという名の小さな鬼は、己の力と周りの人々の協力で幸せを掴んだ。

――さて……。



「辛」を「幸」に変えるのか、変えないのか…。

貴方はどちらだろうか。

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隣のふー@くろまめ。(プロフ) - 神無月怜(元黒瀬優希)さん» 有難う御座います!!そう言って頂き嬉しい限りです…!! (2015年4月5日 21時) (レス) id: 712ba0ee00 (このIDを非表示/違反報告)
神無月怜(元黒瀬優希)(プロフ) - とても面白かったです……!更新、お疲れ様でした! (2015年4月5日 17時) (レス) id: 4cf6869eaa (このIDを非表示/違反報告)
隣のふー@くろまめ。(プロフ) - 神無月怜(元黒瀬優希)さん» とても嬉しいでふ←描いて貰えてよかったな、夢主wおおお、私なんかで良ければ是非!!後、こっから先の会話は多分チャットになっちゃうと思うんで、もし来て頂けるようであればボードの方に返信頂けると嬉しいです…!! (2015年1月4日 23時) (レス) id: 5663fbbcff (このIDを非表示/違反報告)
神無月怜(元黒瀬優希)(プロフ) - 隣のふー@くろまめ。さん» 喜んでいただけてよかったです!後、関係ないですがもしよろしければお友達になりませんか? (2015年1月4日 23時) (レス) id: 4cf6869eaa (このIDを非表示/違反報告)
隣のふー@くろまめ。(プロフ) - 神無月怜(元黒瀬優希)さん» うおああああ有難う御座います!!(落ち着け)早速使わせて頂きますね!! (2015年1月4日 23時) (レス) id: 5663fbbcff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:隣のふー@くろまめ。 | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年4月25日 14時

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