【テニプリ】放送委員の憂鬱

放送委員の朝 ページ5

「謙也君謙也君」

朝学校に来ると、コイツはいつものように俺のクラスに来る。目当ては白石なんやけど、俺に話しかけてはスグ自分のクラスに戻る。

「なんや」

「おはよう」

チラッと白石を見る。
あ、アイツごっつこっち見とるやん！！
こっわ！！いつもああして見とんのか！？
鞄を盾にしとるけど良く見たら穴あきそうなくらいAんこと見とる！！

「謙也君？」

返事しないのを不審に思ったのか、俺の顔を覗いてくるA。
あかん、そう言うのあかん！！今はあかん！！
白石鞄落としてもうてるて！！

「お、おはようさん」

俺がそう返すとAは手を振って教室を出た。
挨拶のためだけにわざわざ毎朝来んねん。

「ケンヤ」

「ぬあっ！？」

静かに俺の背後に立つ白石、
ちょあかん怖いねんけど。

「おはようさん」

声のトーンとは裏腹に笑顔の白石。
いやそれが逆に怖いねん。だったら真顔の方がええわ！

「お、おおう。」

「ええなぁケンヤは。黒崎さんに挨拶されたいわー」

「自分からせえ」

「恥ずかしいやん。無理やわ…」

モジモジし出す白石、いやだからむっちゃキモいで？
エクスタシーしてた方がマシってどういう事やねん。

「あ、せや。今日のお昼の放送ケンヤやったよな？」

「お、おん。せやけど。」

「いつも委員会の時は別々やったけど、今日一緒に食わへん？放送室なら2人きりやし、堂々と恋バナできるやん！」

俺天才と言わんばかりの顔をしよる白石。
いやあかんわ。お前の想い人おんねん。
あ、けどいい機会やし3人で食べるのもありやな。

「先生にバレへんようにな」

「俺を誰だと思っとるん」

約束な！と言い自分の席に戻る白石。
この調子で話せたらええんやけど…問題はAや。
慌てる様子が目に浮かぶ。あかん、先にAには教えとかなあかんな。

廊下に出てAのクラスに行こうとする。

「あ」

教室の前に誰かがおる。
ちゅーかAやん。

「謙也君教科書借して！」

てっきり白石を鑑賞しに来たのかと思うたけど、ちゃうかった。スマン。

「はぁ…ちょい待っとき」

またまた教室に入り自分の席に戻る。
ちょ、何ついてきとんねん！待っとけ！アホ！

Aにはよクラス戻れという気持ちを込めて教科書を渡す

「ありがとう！」

立派な笑顔でそそくさに教室から出ていった。
クソいい笑顔見せやがってアイツ！！！

結局お昼ん事言えんかったし白石からの視線めっさ感じるしもう寝るわ。

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