嘘つきの秘密を君に【立海】

♯１９ ページ19

「A」

「どしたの、ブン太?」

最近のAは楽しそうだ。

「何もねぇ」

「変なブン太」

仁王との間に何かあったってことは明らかで。

「変なのはお前の方だよ」

小さな声で呟いた。

Aには聞こえてなかったみたいだ。

「ブン太、休憩終わっちゃうよ?」

コートの真ん中で幸村君が俺を見てる。

それも恐ろしいくらいの笑顔で。

もう行かなきゃ命とられるかも。

「Aせーんぱいッッ!!」

「わッッ?!!」

出たッッ!!!

俺の宿敵、ワカm……じゃなかった赤也。

「赤也も休憩終わっちゃうよ」

「すぐ行くッス」

赤也はコートに駆け出して行く。

俺も行かねぇとな。

立ち上がった。

「ブン太」

俺のジャージの裾を引っ張る。

「どうかしたのかよぃ?」

「ありがとう」

そんな顔するから。

切ない顔して笑うから。

「A」

名前を呼んで引き寄せる。

「ブン……!!!!!」

そっと唇を重ねる。

Aがびっくりした顔で見る。

「なっなっ………//」

唇を離せば真っ赤になってる。

「…」

自分がしたことに我に返りあわててコートに向かう。

何て言い訳しよう?

走りながら必死に考える。

不意に顔をあげれば仁王と目があった。

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