星降る夜に5 ページ5
「家? 病院?」
「違うよ。もっと、ずっと汚れた
場所だ。…私は自分がどこで生まれたのか
知らない。物心ついた時には、独りで、
そこにいたから。でも、ある時、ある人
に出会ってね」
______君はとても優秀だ。こんな所にいるのは、勿体ないよ。
______私に着いて来ないかい?
「それから私の生活は変わった。
…信じられないかもしれないけど、私は
ポートマフィアの幹部だ」
兇悪な犯罪組織、ポートマフィアの幹部___
私は不思議と、驚かなかった。
作り話をしているようにも思えなかった。
時々彼の瞳から光が消えたり、殺気が
溢れ出たりするのを見て、血と暴力の
世界に生きていた者なのだと心の底で
感じていたからなのか。
それとも、私の感情が欠落しているのか___
「驚かないのかい?」
彼が少しホッとしたように、でもどこか
悲しそうに聞いた。
「これでも、結構驚いているのよ」
咄嗟に嘘を吐いた。理由は分からない。
「…それからは、想像できるだろう。
私は、常に無感情に、人を殺し続けた。
それしかする事がなかったから。
…私と、一緒にいるのが厭になった?」
はは、と自嘲気味に笑った彼の声は、
先程までの飄々とした態度からは想像も
つかない程弱々しくて、
「そんな事、ないよ」
今にも消えてしまいそうで、
「だって貴方、悪い人じゃないもの」
だから、必死に言葉を紡ぐ。
ちらり、と彼の顔を見ると、その目は
大きく見開かれていた。
「なん、で」
「だって、私が何も云えなかった時、ずっと
傍に居てくれたでしょ。悪い人だったら
そんな事、しないよ」
「それに、今夜の貴方は『修治』さん
でしょ? だから、貴方はマフィア幹部
の誰かさんじゃないの」
ゆっくり、云い聞かせるように云えば、
彼の顔を美しい雫石が伝った。
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暁月 - すごく心があたたかくなりました!面白いです。ドラえもんの方もお待ちしております! (2020年11月25日 22時) (レス) id: e687c517ef (このIDを非表示/違反報告)
明月(プロフ) - くれーぷさん» ありがとうございます!この作品で少しでも誰かが明るい気持ちになってくれたら嬉しいです。更新頑張ります! (2017年8月9日 17時) (レス) id: 0166858713 (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ(プロフ) - なんだか読んでから心が軽くなったような気がします。ほっこりする素敵な作品をありがとうございます!私もこんな作品書けるように頑張ろ。更新楽しみにしてますね♪よし、星見に行こう← (2017年8月9日 12時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
明月(プロフ) - RAIさん» ありがとうございます!柔らかい文章かは分かりませんが、できるだけ感情?とか心の声みたいなものを書くように心がけています。あとは五感をいれるとか…。分かりにくくてすみません。すごく嬉しいです。更新頑張ります! (2017年8月5日 22時) (レス) id: 0166858713 (このIDを非表示/違反報告)
RAI(プロフ) - 柔らかい文章の書き方がとても好みです……!私もそんな風に掛けるようになりたい(切実)。次の更新も、楽しみにしています。 (2017年8月5日 20時) (レス) id: d6a1ef8da1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:明月 | 作成日時:2017年8月5日 15時