真実18 ページ19
「違う!違う!!」
水希の荒れる姿にため息が聞こえた。
「嬢ちゃん。また嘘をついて逃れる気か?あのときはお前さんの面子もあるだろうから何も言わなかったが、ここまで証拠が出てきておいて、『違う』は通用しないんじゃないか?」
鬼龍紅郎が赤子を叱りつけるような声量で言った。
「なんで!?くまもできて、体調を崩しながら頑張ったのに!?あれも嘘だって言うの!?!?」
「それはAちゃんも一緒よォ…?倒れるまで働くのが美徳とは言わないけど、貴方ひとりが頑張ってたとは言えないわァ。」
鳴上嵐が頬に手を当てながら言う。
「さて、どうするのじゃ?蓮見くん。」
楽しそうに零が喉を鳴らした。敬人はしばらく黙っていたが、ため息と同時にメガネのブリッジを押し上げた。
「…少し、考えが偏っていたようだ。双方の話を聞くという基本を忘れていた。谷村、言い訳があるなら聞こう。」
「まぁ、これだけ証拠があれば難しいと思いますが☆おっと、あまり恨まないでくださいね。私はもともと手伝うつもりはありませんでしたので☆」
ニコニコと残酷に切り捨てる渉。
水希は下を向き、肩を震わせた。
「なんで、なんでいつもこうなの……!私の思い通りにならないの…!」
ブツブツと呟く姿は少し異様であった。
「私の何が悪いの……!?天才だからってちやほやされるくせにそれが当然って言うみたいに振舞って!!自分は興味無いみたいにそれを無下にして!それなら私が全部貰ったっていいじゃない!!
そのためには多少の犠牲は必要でしょ…?」
「その言い方だと、今回のライブを失敗させようとしてたのかい?」
天祥院英智が穏やかに問う。口元は笑っているが目は笑っていない。
「そうよ!皆有川Aがやったと勘違いする!そうすれば、私は皆に見てもらえる!
……あと少しだったのに。あのとき、ほとんどが有川を疑ったじゃない。皆、単純なんだから。」
もう水希は隠す気がないようで、目を見開き笑っている。嫉妬の瞳はギラギラ輝く。
てめぇ、と晃牙が噛み付こうとした。
は?
カラン、と仮面の落ちた音がした。
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星宮 その(プロフ) - ゆのんさん» 温かいコメントありがとうございます。私自身、話の流れやオチに様々な葛藤があり、流されることもありましたがそう言ってくださりとても嬉しいです。最後までお読みくださりありがとうございました。またお立ち寄りくださると幸いです🍀 (3月31日 21時) (レス) id: 240e030cee (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん(プロフ) - 二回目のコメント失礼します。ここまで面白い作品の評価が殿堂入りじゃないのかが不思議でなりません!とても心地よく読ませていただきました。この作品を書いて下さりありがとうございました。 (3月30日 2時) (レス) @page28 id: 69c19f3dfe (このIDを非表示/違反報告)
ゆのん(プロフ) - は〜…………一気に読んでしまいました。私は時々嫌われ系の夢小説を無性に読みたくなり、読みに来るのですが、ここまでオチに納得したのは初めてです。伏線の回収や、キャラの設定、どれもとても良かったです!面白すぎて、いつの間にか作品を一気に読んでいました! (3月30日 2時) (レス) @page28 id: 69c19f3dfe (このIDを非表示/違反報告)
星宮 その(プロフ) - Not useさん» コメントありがとうございます🤍そう言っていただけて本当に嬉しいです。また気が向いたときに立ち寄ってくださると幸いです🍀改めて、最後までお付き合いくださりありがとうございました。 (2022年12月24日 12時) (レス) id: 240e030cee (このIDを非表示/違反報告)
Not use(プロフ) - 完結お疲れ様でした。とても好きな作品の1つです。 (2022年12月23日 13時) (レス) @page27 id: e53561566d (このIDを非表示/違反報告)
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