【完】One Knight / KnightA + Y (ページ20)

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　前の四人よりも圧倒的に強引。
　それでも動けないのは先程の四人で充分にわかってしまっていたからだ。この距離で逃げる事が不可能なのを身をもって体験している。だから逃げられなかった。

　親指と人差し指がスリスリと私の頬を撫でながら真っ直ぐに見つめるばぁうくん。その指が耳に触れた瞬間、ビクリと身体が揺れる。まるで電気が走ったみたいな感覚だった。

「あんまり可愛い反応しないでよ、我慢できなくなっちゃうじゃん」
「が、我慢していただきたです……」

　何とか振り絞った言葉に目の前にいる彼はくすっと笑う。「あー……」とちょっとだけ不機嫌そうな声を出したあと、右側に傾いていた顔を逆方向に動かした瞬間、人が変わったかのようにイケメンフェイスが一気に幼く可愛くなる。

「もしかして、ぼく……、君のこと、困らせちゃった？」
「！！？？！」

　いきなりのショタボに頭が置いていかれている。本当にさっきと同じ人が声を出しているのかと問いただしたいくらい一気に変わった声。声のマジック。チューニングも何もしていないのにいきなり出来るものなの！？とオロオロしていれば、くすくすといたずらっ子が笑う。

「びっくりしちゃった？うぅーん、こっちの声の方が君は好きかなぁ、って思ったんだけど……。
断然こっちの方が反応いいね、お前」
「なっ、え？えっ？？」

　喋ってる途中でも変わる声にもう驚きが隠せない。首を傾けることで声が変えられるのかと思ったがもうそれでも無いらしい。そして、全部見透かされている。可愛いショタボもまあ、好きではあったが、切り替わった初めの声に勝るものはない。

「ドMなの？お前。……いじめられるの、すき？」
「そ、そんなことは……」
「嘘だぁ〜。だって、この声でお前堕ちそうになってるじゃん。あ、分かった。今気づいちゃったんでしょ、今まで全然そんなこと無かったのにいじめられて興奮しちゃったんでしょ？ねえ」
「っっ」

　なになになにっ、この人、初めに思った通りやばい人だ……！！超ドSなんだけど……っっ。

　そして、今まで誰にも打ち明けてこなかった自分の本性を意図も簡単にあっさりと脱がされてしまい心臓が追いつかない。彼氏にも友達にも打ち明けなかったものなのに。初めてあったばぁうくんに見透かされている。

　逆に言えば、今まで一緒にいる二人は全く気づかなかったってことだ。なのに、なのに……。