episode33 ページ34
"友達1号"なんて言葉、北くんはきっと覚えていない。
「2年の始め、何となく話しかけた後ろの席のやつと、今では一緒に実行委員するくらいの仲良しや」
北くんは教壇から降りて、自分の席の荷物をまとめ始めた。
グラウンドからは運動部のランニングの声が聞こえる。
「俺は九条は1番仲ええ女友達やと思うてる。
そんでこれは自意識過剰かもしれへんけど…九条の1番は俺やと思う」
自意識過剰なんかじゃない。私にとって北くんは1番の友達で、誰よりも大好きな人なんだ。
「…でも九条は侑と仲良うなってから、前よりもっと楽しそうやねん」
北くんの言葉と同時に脳裏を過ぎった侑くんの顔、思わず冷や汗が流れた。
北くんの事を考えると、同時に出てきてしまうのは生意気な後輩で。
ダメだ、これはダメなやつだ。
これは、紛れもない "同情" だ。
侑くんと一緒に過ごす時間が増える度に、私は侑くんの片思いの気持ちを共有してしまっている。
体育祭も、花火大会も、イベント事に限らず日常的な会話の中でさえ。私たちは両思いではないのに、余りにも濃い時間を共有しすぎた。
侑くんはただの後輩から、大切な後輩に切り替わってしまった。
"同情"が、私の片思いの足枷になっている。
教室の隅っこの席
教科書を鞄に詰め込みながら、北くんが小さく呟いた。
「俺が1番やて、思うてたんやけど…
このままやと九条の1番、侑に取られてまうなあ」
北くんは自嘲気味に笑うと、荷物をまとめ終わった鞄を肩にかけて私の前まで歩いてきた。
"違う、私の1番は北くんだよ。"
そう言わなきゃ、今言わなきゃ。
しかしその決心は虚しくも散り、
北くんにしてやられるのは3秒後の事。
開こうとした私の唇に人差し指を押し当て、私が声を出すことを阻止した北くんは爆弾を落とした。
「でも俺、九条の1番は諦めきれへんわ。
せやから文化祭一緒に回ってくれへん？」
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いすみ(プロフ) - し、しんどい…！！😭😭つらい…！😭😭😭😭心臓ギュォオオオンなりました🥲3人の気持ちがわかるからこそなおのことつらい…！幸せになってくれ………！！！恋路も作者様も応援しております！！！！！！！ (4月20日 17時) (
レス) @page45 id: b9d4cbed9d (このIDを非表示/違反報告)
FRISK。(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (4月9日 22時) (レス) @page44 id: 6b38b8c85b (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - えええええええええええええ！？！？めっちゃ気になります！！一気読みしてしまいました！どんどん続きが気になって寝る時間が遅くなるばかりですｗ文化祭辛！どっちとくっついても文句はありませんっ！あとたこ焼き北さん可愛いです！ (4月8日 23時) (レス) @page44 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
さおり - 続き出るの楽しみにしてます、、、！読み終わって発狂しました、もう誰のポジでも切なすぎてもう！！！！欲張りなのでどっちのエンドも見たいなとか思っちゃったりしました、とても面白かったです！！ (4月8日 22時) (レス) @page44 id: 9038e3f6f8 (このIDを非表示/違反報告)
きつね - お恥ずかしながら最近になってこのお話を見つけました。最初は軽い気持ちでページを開いたのですが、いつの間にか引き込まれていました。涙も出ました。文字通り胸が締め付けられる、酸っぱい片思いをこんな綺麗に書かれていて本当尊敬しかないです。ずっと大好きです。 (12月13日 13時) (レス) id: 47a5037dc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちねこ | 作成日時：2020年4月24日 20時
