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episode32 ページ33

2人だけの教室、緊張が張りつめたような空間の中で私はただ唖然と北くんを眺めることしか出来なかった。









どうして自分の口から侑くんの名前が出たのか、どうして北くんを怖いと思うのか。



私は自分の事を考えるので精一杯で。





















どのくらいの時間が経ったのか、永遠にも感じられた沈黙を破ったのは北くんの方だった。













「…九条は東京から引っ越してきてもうすぐで1年半やな」









ふっと息の漏れるような笑いを1つ零した。















私が東京から引っ越してきたのは2年生が始まるその日の朝だった。







慣れない稲荷崎の制服を着て



慣れない関西の言葉が飛び交う教室で



私だけが友達の1人もいなくて。













始業式が終わった後の休憩時間、私は完全に孤立していた。


自己紹介の時間もまだ設けられていないその時に、見ず知らずの生徒に話しかける人はいない。



そう思っていた。
















"自分、初めて見る顔やな。転校生?"









出席番号順に並んだ席で、私の前に座っていた男子生徒。

その人だけが、私に話しかけてきた。









初対面の人にいきなり話しかけられたこと、その人がとても綺麗な顔をしていたことに緊張して、肩に力が入ったのを覚えている。









"えっと…九条Aです

東京から引っ越してきたばかりで、友達もいなくて…"






















そんな私の肩の力を抜くように、彼はふわりと柔らかい笑みを浮かべた。
























"せやったら俺が九条さんの友達1号なったるよ"




















騒がしい教室の中でも、彼の声はよく耳に届いた。


その優しい声と言葉には安心感があって、私の不安は根拠もなく解消された。










もともと男子と頻繁に話すタイプでは無かったけれど、この人とは仲良くなりたいって思った。



初対面でこんなこと思うのは初めてで。













名前教えてください、と勇気を振り絞って聞けば彼の名前は、"北信介"

















"いつでも困ったら相談してな?"







そんな定番のフレーズに私は甘えて、北くんと仲良くなりたくて、近づいて。





気が付けば彼との距離は縮まっていた。


他の女の子よりもずっと仲良くなれたと思う。
















…嫌われるのが怖い。

今北くんの心情が読めなくて怖いと思うのは、嫌われるのが嫌だからかもしれない。

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いすみ(プロフ) - し、しんどい…!!😭😭つらい…!😭😭😭😭心臓ギュォオオオンなりました🥲3人の気持ちがわかるからこそなおのことつらい…!幸せになってくれ………!!!恋路も作者様も応援しております!!!!!!! (4月20日 17時) (レス) @page45 id: b9d4cbed9d (このIDを非表示/違反報告)
FRISK。(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (4月9日 22時) (レス) @page44 id: 6b38b8c85b (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - えええええええええええええ!?!?めっちゃ気になります!!一気読みしてしまいました!どんどん続きが気になって寝る時間が遅くなるばかりですw文化祭辛!どっちとくっついても文句はありませんっ!あとたこ焼き北さん可愛いです! (4月8日 23時) (レス) @page44 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
さおり - 続き出るの楽しみにしてます、、、!読み終わって発狂しました、もう誰のポジでも切なすぎてもう!!!!欲張りなのでどっちのエンドも見たいなとか思っちゃったりしました、とても面白かったです!! (4月8日 22時) (レス) @page44 id: 9038e3f6f8 (このIDを非表示/違反報告)
きつね - お恥ずかしながら最近になってこのお話を見つけました。最初は軽い気持ちでページを開いたのですが、いつの間にか引き込まれていました。涙も出ました。文字通り胸が締め付けられる、酸っぱい片思いをこんな綺麗に書かれていて本当尊敬しかないです。ずっと大好きです。 (12月13日 13時) (レス) id: 47a5037dc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちねこ | 作成日時:2020年4月24日 20時

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