夜桜【結婚編】〜風間千景〜弐 修正中

結婚編49 ページ10

『…やっ…』


私は体をくねらせて抵抗する。


その光景は千景にとっては興奮する材料だと後できずいた。


耳への口づけは誘惑。


花魁がよくする行動。


そんな事千景が知ってるわけないって思ってた。


心がドキッと音をたてた。


『……ぁ…。』


千景が、首筋にガリッと噛みつく。


『……いっ…っいた…』


思わず、頬に涙が伝った。


千景「…こんな…。」


『……。』


千景「…こんな事したいわけではない。」


そういって、千景の手が私の頬に触れた。


『…あっ…ちは…』


なにかを伝えようとしたが、


言ってはいけないような気がして、


私は口をつぐんだ。


すると、


次は、鎖骨へ太ももへ足の先へ


あらゆるところを噛まれたり、


血が滲んだりと、


傷が私についていく、


そのキズはすぐに消えるものの、


噛みあとは残った。


『…ひっ……あっ』


私はだんだんと怖くなり、


目の前が真っ暗になっていった。


『……ち……か…』


小さく名前を呼ぶ。


千景に届いて欲しくて、


泣いてしまいそうな自分が嫌で…


私は、千景の胸板を思いっきり突き飛ばした。


千景「……。」


私の行動に千景は驚く。


私は、はぁはぁと息を整え、


腰の下に敷いてある着物で体を隠した。


『…これ以上するなら、お引き取り願います。』


こんな……事


私だってしたくない。


千景を拒絶してるわけじゃない。


けど、


なんか…


『…ここを何かご存じでありんしょう…』


千景「…。」


『…お客にひとときの夢や幸せを与えるところでありんす…』


私は、千景の目を見つめた。


『…私も何人も幸せな夢を与えてきました。』


千景「…。」


『…貴方のように傷物をつけられる女体などどこにもない！次からは、やめておくんなんし…。』


私は、


着物をにぎりしめた。


強く強く……

結婚編50→←結婚編48

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す