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ふと、千鶴は沖田さんに眼を向けた。
彼は既に箸をおいている。
「あ……沖田さんはもういいんですか?」
「うん、あんまりお腹一杯に食べると馬鹿になるしね」と沖田さん。
「おいおい馬鹿とは聞き捨て……だが、その飯は頂くぜ!」
永倉さんが威勢よく云った。
「どうぞどうぞ。僕はお酒をチビチビしてればいいし」
「んじゃ、俺も酒にするかな」
原田さんが云った。
「おっ、酒か? 俺にもちょっとくれよ」
薬研が乗り出した。
「千鶴ちゃん、Aちゃん。ただご飯とか気にしないで、お腹一杯食べるんだよ」
沖田さんが優しい声で云ってくれたけれど、千鶴は慌てたようにこう返す。
「……わ、分かってます。少しは気にしてます!」
「気にしなくてもいいが……自分の飯は自分で守れ」
斎藤さんが、さっきも聞いたような言葉を紡いだ。
「藤堂さん……」
私は、隣の彼の袖をくいくいと引っ張った。
丁度、永倉さんに魚を三分の一取られて項垂れていた彼に、私は茶碗に半分残ったご飯を差し出した。
「良かったら、どうぞ」
「あー……その【藤堂さん】っていうの、止めてくんね? みんな【平助】って呼んでるしさ」
「でも……」
「歳も近いし」
「……近いんですか?」
「オレ、廿九だけど」
「私、廿三です。千鶴は廿五ですけれど……」
「離れてるか……でも、止めてくんないか? ですますも止めようぜ?」
「あー……では、平助さんで。ですますは、癖ですから……」
「そっか。んじゃ、それでいいぜ」
隣では、薬研が酒を舐めている。
薬研は見かけによらず酒に非常に強く、並みの量では滅多に酔わない。
骨喰も飲んでいるが、頬は既にほんのりと赤みがかっている。
今剣は、飲もうとした途端に沖田さんに酒杯を取られてしまった。
――子供は駄目だよ。
――ぼくはこどもじゃありません!
鶴丸は、齋藤さんと何やら話し込んでいた。
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Chris(プロフ) - 魔導士カリナさん» コメントありがとうございます! 文体好きって言って貰えてすごく嬉しいです。応援……?! もうありがとうございますの一言に尽きます……。 (2017年4月3日 7時) (レス) id: 2c836ec423 (このIDを非表示/違反報告)
魔導士カリナ(プロフ) - Chrisさん!イベント参加、ありがとうございました!私が言って良いのか分かりませんが...私、Chrisさんの文体とか凄く好きなんです。もしよろしければ、これからも作品を応援させていただいて宜しいでしょうか...? (2017年4月2日 23時) (レス) id: 0cf79671fa (このIDを非表示/違反報告)
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