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――分かりました。
それで、私たちはどうすれば……?
千鶴の問いに、土方さんが答えた。
――屯所じゃ何もしなくていい。
部屋を一つずつやるから引きこもってろ。
――あれ、おかしいなあ。この子たち、誰かさんの小姓になるんじゃなかったですか?
――……いいか、総司。てめえは余計な口出しせずに黙ってろ。
そんな感じで、今に至る。
刀剣たちは、隊士という処遇なのだけれど、私と一緒に部屋に閉じこもっていなければならないことになっている。
しかし、粟田口の兄弟二人は早朝に部屋を抜け出し、屯所の屋根の上で手合わせをしている。
「起きたか、大将」
「おはようございます、薬研……と骨喰」
「……寒いな」
色白の頬を少し上気させながら、粟田口兄弟が現れた。
「にしても千鶴ちゃん、可哀そうだよなあ。折角手がかり掴んだのに、親父さんを捜しに行けなくて」
鶴丸が云った。
「土方さんはおおさかにしゅっちょうですし……」
「大将。……気分転換に、中庭にでも行こうぜ」
薬研に誘われ、私たちは連れ立って廊下を歩いて行った。
短刀二振りは偵察を、脇差一振りは隠蔽を担当する。
誰にも会わずに中庭まで出たが、そこには驚くべき光景が待っていた。
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Chris(プロフ) - 魔導士カリナさん» コメントありがとうございます! 文体好きって言って貰えてすごく嬉しいです。応援……?! もうありがとうございますの一言に尽きます……。 (2017年4月3日 7時) (レス) id: 2c836ec423 (このIDを非表示/違反報告)
魔導士カリナ(プロフ) - Chrisさん!イベント参加、ありがとうございました!私が言って良いのか分かりませんが...私、Chrisさんの文体とか凄く好きなんです。もしよろしければ、これからも作品を応援させていただいて宜しいでしょうか...? (2017年4月2日 23時) (レス) id: 0cf79671fa (このIDを非表示/違反報告)
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