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*

 「このまま黙っていれば、きっと殺されるよね……」

 千鶴が呟いた。
 彼女の視線は、自らの(いまし)められた手首に落とされている。

 「大将も千鶴も女だからな……出来れば逃がしてやりたいが、これじゃあな……」

 薬研がぼやいた。

 「説得は難しいでしょうし……」

 私の呟きを最後に、暫く沈黙が落ちた。

 「あ、でもそう云えば……」

 「ん? 何か思いついたか?」

 千鶴が思い出したように口を開いた。

 「あの人たち、男らしく覚悟しろって云ってたよね。ってことは、私とAが男だと思ってるんだよね」

 「だから、実は女ですと云えば、少しはましだろう……と、そういうことですか?」

 「うん……」

 「薬研をどうするつもりです? 彼も女だと云うのですか?」

 「そいつぁ無理だろうな。俺は昨夜、声を聴かれてる」

 「そっか……そうだよね……」

 また沈黙が落ちた。
 薬研が口を開いたのは、それからまた暫く経ってからだった。

 「ま、云った方が、少なくともあんたらのためにはいいんじゃねえか?」

 「そうかな……」

 「もしかしたら、京の人だと思われているかもしれませんね。江戸から来たと云えば、少しは……」

 私も云った。

 「取り敢えず、正直に話してみようや」

 ほれ、と背を叩かれた千鶴は、思い切り息を吸い込み、声を上げた。

 「すみません! 誰かいませんか!」

 私は思わず、耳を塞いでしまった。

 「どっから出るんですか、そんな大声……」

 それほど、千鶴の声はよく響く大声だった。
 少しして襖が開かれ、齋藤さんや"新八っつぁん"らが顔を出した。

 「大胆だなあ、お前さんたち。捕らわれの身分で俺らを呼びつけるなんてよ」

 "新八っつぁん"が呆れたように云った。

 「で、そっちから声をかけてくるなんざ、そろそろ腹も決まったのか?」

 「そうではなくて……」

 "新八っつぁん"の言葉を千鶴が否定すると、薬研が口を開いた。

 「ちょっと、俺たちの話を聞いてほしいんだ」

 「恐らく、あんたらの事情は汲めないだろう。それで良ければ話すといい」

 斎藤さんが云ってくれた。

 「お前らの運のなさには同情する。ま、成仏してくれな」

 "左之さん"が云う。
 ……成仏とはまた、薬研も難題を突き付けられたものだ。

 「ほら、男なら諦めが肝心だろ?」

 藤堂さんまで……。

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Chris(プロフ) - 魔導士カリナさん» コメントありがとうございます! 文体好きって言って貰えてすごく嬉しいです。応援……?! もうありがとうございますの一言に尽きます……。 (2017年4月3日 7時) (レス) id: 2c836ec423 (このIDを非表示/違反報告)
魔導士カリナ(プロフ) - Chrisさん!イベント参加、ありがとうございました!私が言って良いのか分かりませんが...私、Chrisさんの文体とか凄く好きなんです。もしよろしければ、これからも作品を応援させていただいて宜しいでしょうか...? (2017年4月2日 23時) (レス) id: 0cf79671fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Chris | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年3月27日 20時

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