*** ページ14
*
「まだ……追ってくる……!」
私はもとより、千鶴も限界が近づいたようだ。
狭い路地へ滑り込み、千鶴は家と家の隙間に先ず私を押し込み、それから自分も入った。
私は何とか、震える手で骨喰を抜き、路地に放った。
桜吹雪が舞い、骨喰が人の形になった。
そのまま本体――つまり脇差を抜いた。
しかし――。
「ぎゃああああああっ?!」
骨喰が地を蹴るよりも早く、浪士の悲鳴が上がった。
骨喰はぴたりと停止した。
「な、何……?」
千鶴が云うけれど、私だって分からない。
「畜生、やりやがったな!」
骨喰ではない。
何故なら、彼はまだそこに立っているから。
では、誰が――?
「くそ、何で死なねぇんだよ! ……駄目だ、こいつら刀が利かねえ!」
千鶴が怖がっているのが分かる。
それもそのはずだ。
人の命を刈り取る可能性を秘めた、得体の知れない何かが間近に存在しているのだから。
「千鶴?!」
突然千鶴は、路地に顔を突き出した。
「馬鹿者……引っ込んでろ!」
骨喰が囁いたけれど、千鶴はそのまま駆けて来た道を覗き込んだ。
そして、はっと息を飲んだ。
「千鶴……?」
私も千鶴に倣い、覗き込む。
そして、私は声を上げそうになった。
114人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Chris(プロフ) - 魔導士カリナさん» コメントありがとうございます! 文体好きって言って貰えてすごく嬉しいです。応援……?! もうありがとうございますの一言に尽きます……。 (2017年4月3日 7時) (レス) id: 2c836ec423 (このIDを非表示/違反報告)
魔導士カリナ(プロフ) - Chrisさん!イベント参加、ありがとうございました!私が言って良いのか分かりませんが...私、Chrisさんの文体とか凄く好きなんです。もしよろしければ、これからも作品を応援させていただいて宜しいでしょうか...? (2017年4月2日 23時) (レス) id: 0cf79671fa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ