宮と確信犯 ページ14
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「…面白い子、ですか」
『そう、Aに似てるんだけど〜
眼鏡かけてるから多分違う子だよね』
「…あぁ、ええと…」
そんなことを私に聞いてくるあたり、婚約者は「宮 A」が「橘 A」であると気づいているのだろうか。
「…その人の名字、何か分かりますか?」
『あ〜、「宮」って言ってたかな』
自分で自分のことを聞くという不思議な行動だ。
「名字が違うんで別人じゃないですか?」
『だよね〜』
何だかすこし、さとみさんが笑っているような。
「…お話はそれだけですか?」
『んー…そうかな
またね』
「はい…また」
と電話を切った。
「(…危なかった………)」
電話では平静を装っていたが、切ったあとはもう冷や汗だらだら。
スマートフォンを片手に頭を抱える。
婚約者、そういうところだけ勘が良い。
「バレたかな……」
「何が?」
突然後ろからした声に、思わずスマートフォンを落としてしまった。
「やめてよ…僕、幽霊じゃないんだから」
「あは、ごめん…」
というかノックもしないで私の部屋に入ってくるのはやめてほしい。
「何がバレたの?」
「うっ…」
「え、なに?」
不安そうな顔をする伶。
言うべきか言わざるべきか…。
伶なら信用できるか…?
と思ったし、もうばっちり私の言ったことも知っているので話そうと思う。
「あのね________…」
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「…へえ」
「バレたら嫌だな…」
諦め加減で言うと、くすりと伶に笑われる。
「多分だけど、さとみさん気づいてるよ」
「えっ」
「声かけてきたし」
「えっ」
「電話で確認までしてきたんでしょ?」
「えっ、ちょ」
「それってもう確信犯だよね」
「…やっぱり…?」
と聞くと、うん!と元気よく返された。
そこははっきり言わないで欲しかった。
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るり(プロフ) - 今日ほんとに見返してたところの更新だったので嬉しかったです泣 この先のお話とかめちゃくちゃ妄想してるので、いつかお話になるの楽しみにしながらこれからも見返そうと思います! (2021年1月14日 0時) (レス) id: 1011553aa4 (このIDを非表示/違反報告)
月雫 runa - 完結おめでとうございます!! 最初から最後まで楽しめました! (2020年3月22日 12時) (レス) id: 7dc9d510f6 (このIDを非表示/違反報告)
おとは(プロフ) - はじめまして!スゴくよかったです(*^_^*) (2020年3月18日 7時) (レス) id: 083a813a8f (このIDを非表示/違反報告)
さくり@歌リス(プロフ) - ヤバい!最高でした(@_@) (2020年3月16日 22時) (レス) id: 0cd51e6ec6 (このIDを非表示/違反報告)
響(おと) - すき。 (2020年3月16日 11時) (レス) id: e976740a08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:田鈴 | 作成日時:2020年1月2日 17時