検索窓
今日:2 hit、昨日:9 hit、合計:173,060 hit

宮と婚約者 ページ13

.




そう思って、かれこれ二時間ほど経っただろうか。








あの婚約者、三十分毎に私に電話をかけてきている。


なんなんだ?


暇なのか?


もううるさいし…出てしまおう。


バレたら…まあ、適当に誤魔化す。


つまり対策はない。


我ながら暴論だと思うが…。


ついさきほどから鳴っているスマートフォンを手に取った。








「…もしもし」


『あ、A〜やっと出た、ふふ』


と嬉しそうに笑う婚約者。


「どうしたんですか、さとみさん」


『ちょっとね、話したいなって』


「…そうですか」


『…敬語そろそろやめない?』


「やめません」


仮にも婚約者なのだから、相手の前では敬語でないといけないと勝手に思っている。


それに失礼かと思って。


婚約してから、ずっと私は敬語だ。


『ま、その敬語が好きなんだけど…』


婚約者がぼそりと呟いたそれが聴こえてしまい、思わず「え」と言ってしまった。


『…あれ、聴こえた?』


「…はい」


『本当だし良いけどな〜…』


それを甘ったるいあの顔と声で言っているのだから、少し…というか結構恥ずかしい。


『さすが俺のお嫁さんって感じ』


「…あの、その辺で…」


『あれ?照れてる?』


と面白そうに聞いてくる婚約者に、反論できない私。


するとまた可愛いなあ〜と言ってくる。


『A引っ越したんでしょ?』


「まあ、はい」


『どこ?』


いや率直過ぎじゃないか。


答えたら完全にバレてしまうんだが…。


「…秘密です」


『秘密…そっかぁ〜、じゃあ


探し出してあげるよ』


「結構です」


『えぇ…』


と残念そうにしているのが電話越しでも伝わる。


『そういえばさ〜、俺の学校に面白い子がいるんだよね』


その話題が出てきた途端、肩がびくっと跳ねる。


…今、それ話しますか。




.

宮と確信犯→←宮と電話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (290 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
583人がお気に入り
設定タグ:すとぷり , さとみ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

るり(プロフ) - 今日ほんとに見返してたところの更新だったので嬉しかったです泣 この先のお話とかめちゃくちゃ妄想してるので、いつかお話になるの楽しみにしながらこれからも見返そうと思います! (2021年1月14日 0時) (レス) id: 1011553aa4 (このIDを非表示/違反報告)
月雫 runa - 完結おめでとうございます!! 最初から最後まで楽しめました! (2020年3月22日 12時) (レス) id: 7dc9d510f6 (このIDを非表示/違反報告)
おとは(プロフ) - はじめまして!スゴくよかったです(*^_^*) (2020年3月18日 7時) (レス) id: 083a813a8f (このIDを非表示/違反報告)
さくり@歌リス(プロフ) - ヤバい!最高でした(@_@) (2020年3月16日 22時) (レス) id: 0cd51e6ec6 (このIDを非表示/違反報告)
響(おと) - すき。 (2020年3月16日 11時) (レス) id: e976740a08 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:田鈴 | 作成日時:2020年1月2日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。