◆裏返しの愛情と涙◆ ページ10
「きゅるるるるるぅ!!くわ、くわらららららぁっ!!」
腐ったﾐﾙｸの様な色をした涎を撒き散らして理科実験室を覗き込む怪物。
前から見ると剥き出しの歯茎と牙、無造作な髪しか見えなかったが
どうやら奴の目は腹にあった様で、四つん這いで壁に止まった怪物はｷﾞｮﾛｯと中を見た。
標的を定める。目が合う。
「っ…!!」
不味い！逃げないとっ!!
怪物は再び興奮状態に陥り暴れる様に窓を割り始めた。
何が何でも入るつもりだ。
黄瀬は脚に力を込めた。今の内に早く。ｾﾝﾊﾟｲを連れてどっか安全な場所へ
ごすっ。
「いっ!?」
脇腹に強めのﾁｮｯﾌﾟを食らった黄瀬は堪らず森山を手離し、その場に倒れた。
ｽﾞｷｽﾞｷと滲む痛み。
「な、何するんスか森山ｾﾝﾊﾟｲっ!?」
攻撃をした犯人は森山だった。相変わらず脚から血を流してﾔﾊﾞｲ汗を流す森山は、
ふっと、何かを悟った様に微笑んだ。
「黄瀬。……もういい。行け」
ぶちギレそうになった｡
「何言ってんスか！ｾﾝﾊﾟｲ、馬鹿!?置いてく訳ないっスよ!!」
「……あーのなー。お前なんかに背負われてもなんも嬉しくねぇよ！どうせなら可愛い女の子に介抱されたかったぜ」
「ちょ!?」
ｶﾞｼｬｶﾞｼｬｶﾞｼｬｶﾞｼｬﾊﾟﾘﾝｯｶﾞｼｬｶﾞｼｬﾊﾟﾘﾝｯ
終わりを告げる硝子の音。校舎全体が揺れる。
停電。
割れた窓からの朝日が微笑む森山と黄瀬を照らす。
世界の終末の様に、全てが壊れていく。
「よく分からんが、お前がいなくてもすぐ出ていけるさ。それに、二人一緒に出たら格好の餌食だろ？」
「だからって!!今の状態のｾﾝﾊﾟｲを置いてったら、それこそ死ーーー」
「黄瀬っ！！！！」
怯える程、怒鳴る彼の声が
切ない位、もう死を予感していた
「行けと、言ってるだろ!!先輩命令だ!!走れ!!」
「ぃ…いやっス…嫌だ!!森山ｾﾝﾊﾟｲがっ……死、死んじゃ……」
「いいから!!俺は大丈夫だ!!」
「くわらららららぁっ!!ぱらっくぅ!!」
「黄瀬っ！！！！」
森山の断末魔に
黄瀬は涙を大量に流して、背中を見せた。
「絶対、絶対生きててください!!」
崩れ行く理科実験室
真横で荒い息をたてる怪物を見て
最期にぽつりと、森山は呟いた。
「……はぁ…死ぬ前に泣いてくれる彼女でも、欲しかったな」
冗談みたいに笑って
少しの未練を溢すと
森山は頭から怪物の足場となった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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ひぢの(プロフ) - KAMEさん» 自分も化け物退治な作品の設定だけ練っているもんですから、参考にさせていただいています。小ネタから内実を妄想するのが好きなもんでして、他にも色々お聞きしたいのですが、回答がネタバレになりそうなので控えますね。 (2015年2月18日 21時) (
レス) id: 893c85b1db (このIDを非表示/違反報告)
KAME(プロフ) - mokomoko＠笠松先輩…(涙)さん» そうなんですぅううう!!流石mokomokoさんです!!簡単に口走る「しね」という言葉。死とは、どういう事か。今回も人間にとって永遠の問題を伝えられたら嬉しいです!!更新頑張ります!!ｹﾞﾝｹﾞﾝ…NGｼｰﾝ惚れるかと思いました← (2015年2月18日 20時) (携帯から) (レス) id: 5b37bf2054 (このIDを非表示/違反報告)
KAME(プロフ) - 蕾愛さん» 森山さんは普段女性の事とﾊﾞｽｹしか考えないお馬鹿な残念ﾎﾞｰｲですが、いざとなれば笠松先輩にも劣らない男前です。ｶｯｺｲｲ女子…素敵ですよね！確かに、黒ﾊﾞｽはｶｯｺｲｲ女子多いですねwww今気付きましたwww (2015年2月18日 20時) (携帯から) (レス) id: 5b37bf2054 (このIDを非表示/違反報告)
KAME(プロフ) - ひぢのさん» おおおお…！着眼点が凄い！ひぢのさん素晴らしいです!!そうですね、最初から救助装置を用意していなかった理由は後々書きますが正直ここまでしっかり見てくれているとは吃驚しました！駄作者として礼を言わせて下さい。ありがとうございます！ (2015年2月18日 20時) (携帯から) (レス) id: 5b37bf2054 (このIDを非表示/違反報告)
KAME(プロフ) - 華瑚さん» 笠松先輩の運命はいかに…？無事をお祈り下さい｡ﾟ(ﾟ´ω｀ﾟ)ﾟ｡ﾒﾃｵちゃんは何やら救助に回るというより危機的現状を抜ける為に周りを有効利用してる感じですね。これからの展開に期待をお願いします…！文才は…皆無です(遠い目) (2015年2月18日 20時) (携帯から) (レス) id: 5b37bf2054 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KAME | 作成日時：2015年2月12日 11時
