気まぐれ【3】 ページ5
しばらく沈黙が続いた。
雨の音が、私たちを包んでいる。
そして、彼は目をぱちくりと開きこう言った。
｢えっ、これはもしかしてアカンやつ？」
A｢そうですね！」ｽﾞﾊﾞｧﾝｯ
｢えぇ〜！？そんなキッパリ言わんといてやぁ〜。なぁ〜？」
彼は上目遣いで言ってくる。
だが、私はそんなので簡単に心揺らぐ女じゃないから効果無しだ。
｢なぁなぁ、なんでアカンの？俺、なんも悪いことせぇへんで？おりこうさんにするから」
A｢むむむ、無理です！普通に考えて、見知らぬ男を家にサラッと入れるなんて抵抗あり過ぎですよ！知り合いならまだしも…」
｢あ…やっぱり、そっか…」
突然、彼は俯いて、寂しそうな表情を見せた。
さっきまでの謎テンションはどこへやら。
でも、さすがにかわいそうに思えてきたので、声をかけてみた。
A｢…その…家出、とかですか？…まぁ、よく分かんないですけど、ご両親も心配しているだろうし、早く帰ったほうが…」
｢俺、家族おらへんよ。あー、お師さんはおるけど。あの人は親に入るんかな〜？」
A｢お、お師さんって？」
｢お師さんは、お師さんや！」
A｢はぁ…(´ﾟдﾟ｀)？」
｢お師さんの作るお人形さんは世界一可愛いで！」
ますますこの人怪しい。
A｢と、とにかく、早く家に帰ってください。風邪ひいちゃいますよ？」
そう言った瞬間、彼は黙り込み、真っ直ぐ私を見つめていた目をそらした。
｢…じゃあ俺、このまま、なんも叶わんまま死ぬしかないんかな」
A｢！…な、何言って…」
怖くなった私は、とっさに大雨の中へと走って行った。彼から逃げたのだ。
叶わないまま、死ぬ。
その言葉が
とても怖かった。
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ももちゃん(プロフ) - 続き楽しみにしてます！書いていただけたら嬉しいです (2021年5月29日 5時) (
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作者名：まりも米 | 作成日時：2017年6月18日 20時
