32話 ページ32
何を言われたか一瞬わからなくて、Aの方を振り返った。
俺をまっすぐ見るその瞳は潤んでいた。
「士郎さんには申し訳ないけど、断ったの。
だって私は、きーちゃんのことがずっと前から好きだから。」
Aは俺の腕を掴んでいない方の手で、自分の心臓の辺りをキュッと掴んだ。
「...え?」
「東京に来てから、きーちゃんは女の子たちの間で人気者になったよね。
私、このままきーちゃんと今まで通りの距離でいたら、女の子たちに嫌われちゃうんじゃないかって怖くなった。
だから苗字で呼び始めたの。
でも、そしたらやっぱりちょっとずつ距離が離れて行って、きーちゃんが遠くに行っちゃった気がした。
そのとき、私はきーちゃんのことが好きだったんだって、気付いた。
東京に来なきゃよかったって、思ったときもあったよ。」
「氷浦。」と初めて呼んだときのAの顔を思い出した。
笑っていたけど、息が詰まりそうな顔をしていて。
「臆病で根性なしだから、何もできなかったよ。
きーちゃんがもし他の女の子と付き合うことになってても、何も言えなかったと思う。
でも、士郎さんに言われたの。
自分に正直に生きろって。」
Aは俺の左腕を掴む力を強くした。
そして、少し切なげに笑った。
「でも、これって結局、きーちゃんの行動に続いた感じになっちゃった。
ていうか、ちょっと信じられないんだけど、さっきの話、本当なんだよね?
ドッキリとか夢じゃ、ないんだよね?」
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ゆい - キャー (2020年2月15日 13時) (レス) id: 2c2dc05fa8 (このIDを非表示/違反報告)
◎SaE(プロフ) - ぴーすけさん» そうなんですね笑 ええ!怖い話面白いじゃないですか!苦手なんですか…わかりました!わざんざコメ返しして下さり有難うございました!またどこかで!! (2019年10月6日 23時) (レス) id: 522d62b950 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーすけ(プロフ) - ◎SaEさん» 多少黒歴史なので恥ずかしいです。(笑)でも、記憶に留めていただいて、そんなことまで言っていただけて本当に嬉しいです!こちらこそありがとうございます!!私、怖い話大の苦手なんですよねえ(汗) (2019年10月6日 20時) (レス) id: d12c541ec5 (このIDを非表示/違反報告)
◎SaE(プロフ) - ぴーすけさん» 霧野咲って見覚えあるな、と思いまして笑 よく考えたら作品沢山読ませてもらっていました。イナイレ こんなにハマったのも霧野咲さんの作品を読んだことも一つだと思います、有り難うございました!あと私もイナイレシリーズで怖い話書いてます。良ければ是非! (2019年10月6日 5時) (レス) id: 522d62b950 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーすけ(プロフ) - ゆーみやンさん» ありがとうございますっ!!! (2019年10月4日 22時) (レス) id: d12c541ec5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーすけ | 作成日時:2019年9月16日 11時