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忙しない ページ14

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私は今日、朝からソワソワしっぱなしである
何を隠そう、今日がぬらりひょんと今世で初めて会う日だからだ



「…………はぁぁぁぁ…………」



堪らず大きなため息を吐き捨てた



「おふくろため息深すぎるだろ」

「鯉伴…」



いつの間にうちに来ていたかは知らないがそれをツッ込むほどの余裕は今ない



「…鯉伴、どうしたらいい」

「何がだ?」

「……柄にもなく、緊張とやらをしているらしい」



ただ会えばいいだけ
だというのに私の体は忙しなく動き、落ち着きの欠けらもない



「…………………」



鯉伴はそんな私を珍獣でも見るかのようにパチクリと瞬きをしながら眺めてくる
一体なんだと言うのか



「……ふはっ」



そう思った次の瞬間には吹き出され、私の眉間には皺が寄った



「母を笑うとはいい度胸だ。
覇気付きのフルコースでも味わいたかったか?」

「すんませんでした」



やはり条件反射
脊髄反射もいい所だろうに



「まったく…」

「いやだってよ、おふくろが緊張するなんて初めて見たぜ」

「私とて前世を含めて二度目くらいなものだ」

「…どんな強心臓してんだよ」



前世でも当時の人間からすれば長生きした人生を送ったはず
だというのに緊張したのが一度しかなく、今が二度目とは



「んじゃその一度目ってのはなんだい?」

「初夜だな」

「………………なんか、すんません」

「別にそれを恥じるほど初心でもない」



あまりにもさらりと初夜だと言われると、むしろこちらが申し訳なくなった鯉伴



「つか、おふくろも初めての時は緊張したんだな」

「それはな。私とて初夜くらいは緊張した」



また一つ溜息をつきつつ、茶を飲む



「それにあやつは私が初めてであることを知っておきながら盛ついていたから内心怖かったのはある」

「ああ、だろうな。
親父マジでおふくろの事になると踏ん張りっつーか歯止めがきかねーし」

「初心者相手に本気で襲いかかってくると思うか普通」

「いや流石にそれは俺はねぇわ。
二回目からなら違うだろうが初めてん時はやっぱな?
それにアレは女の身体に負担かかるもんだしよ」



ああ、良かった
私の息子はちゃんとそういう所は心得ていてくれたらしい
本当に良かった
女の身として、母として良かったと思う



「そういう所、お前があやつに似なくて本当良かった」


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(プロフ) - printemps(プランタン)さん» そうなんです。一応最強設定ではありますので…^^; (2020年5月21日 15時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - しろくまさん» ご期待に添えたようでよかったです(*^^*) (2020年5月21日 15時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - もう知ってるけど、夢主最強説 (2020年5月17日 10時) (レス) id: a86d5a1323 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま - 更新ありがとうございます!わぁ(*´▽`*)リクにお応えして下さりありがとうございます!めちゃくちゃ面白かったです笑 鴆様流石ですし、狒々のなんとも言えない子供感がたまらなかったです!楽しみに待ってます!更新頑張ってください! (2020年5月16日 20時) (レス) id: 4a9ec96a98 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 木乃伊さん» ありがとうございます!更新頑張りますね! (2020年5月16日 19時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年3月21日 20時

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