【おそ松さん】銃とナイフとお兄さん２

第五十八話「叫び」 ページ9

「チョロ松、お前と戦いたいわけじゃないんだ。ここは引いてくれ」

「僕には僕の信念があるんだよ。それに、カラ松の命令なんか聞くわけないだろ」

「…頭の良いお前がここまでする、よほどなんだろう。だがここは冷静になるんだ」

「冷静になるのはお前だろ。Aの味方なんかして、馬鹿じゃないの」


___殺して。


また。


___お願い十四松くん。


また、この声だ。


___十四松に殺してほしいの。


思い出したくない声が聞こえる。


___十四松、殺るならお前が終わらしてあげて…


……っ！！


「うるさいうるさいうるさ〜い！！」


手に持った銃を乱雑に撃つ。


「な！？十四松！？」


いやだいやだいや、いやだよ。


もう、殺したくない。

殺したくない


でも、ぼくは殺したんだ。

あの子を殺したんだ。


「あは、あはははは！！いつまで長話してんの！！？早く殺そーよー！！Aあっち！？ぼくもう行っていいかな！！」

「……良いよ。カラ松は僕か引き止めておく」

「あは、は。ありが盗塁王！！チョロ松兄さん！！」


走った。

笑った。

銃を撃ち鳴らした。


そしたら全部全部無くなるから。

ぼくがぼくでいられるから。


「あーああーあーあー」


意味の無い言葉。

少しリズムがあって歌っぽいかな。


「あぁあああぁぁぁあああ！！！」


どうしようもない心の叫びだった。


▽作者▽

松野十四松。

もう誰も殺したくないと思っている。だけど、みんな殺してやりたいとも思っている。
人格が狂っている。
好きな人を殺したその日から、一度たりとも泣いていない。本気で笑った事もない。
誰かに自分を止めて欲しい。

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