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「でも今はそれも乗り越えて若菜っつー人間の娘と結婚してリクオが出来たわけでよ。
若菜が、俺の心を救ってくれたんだ」
「…そうか。
ならいつか、その若菜という娘に礼を言わねばな」
「いやどっちかっつーと今じゃもうおふくろの方が娘なんだが」
黙れ、と茶菓子に出していた黒豆を鯉伴のデコに飛ばしてやる(覇気あり)
するとやはり覇気があるため相当な衝撃だったのかアダッッ!!とおでこをおさえた
「お、おふくろの手にかかりゃ黒豆も凶器かよ…!」
「お前のそういう学ばん所はぬらりひょんそっくりだな。
だから馬鹿だというんだ」
「ま、学ばないわけじゃねーよ……」
ただちょっとニュアンスを変えてどこのラインならOKなのかを探してるわけで、と訳の分からん言い訳を始める息子に小さくため息
「…でも、だからよ…
俺はもう乙女にゃあ会えねぇから、奇跡的にこの世に生まれてきたおふくろがいるなら俺は親父に会って欲しいと思う。
別に仲違いしたわけじゃねぇ、おふくろはただ天寿をまっとうしただけじゃねぇか。
何をそんなに躊躇う必要があんだよ。
俺はそれがわかんねぇ」
鯉伴は思う
自分も彼女に会えるなら会いたい
そして許しを貰わなくてもいいから、済まなかったとただ謝りたい
だがそんなことも、自分は出来ないのだ
「………………私は……………」
私も良くは分からないのだ
何故こんなにも頑なにぬらりひょんに会うことを拒んでいるのかが
これという、はっきりとした理由は見つからない
でも、嫌なのだ
会いたくない
でも会いたい
そんな思いが混ざり合いワケが分からないのだ
「親父な、おふくろが腕の中で静かに息を引き取ってゆっくりと体が冷たくなっていく中で」
「…ああ」
「ずっと…泣きながら、笑ってたんだぜ」
「…………」
「静かに涙流して、ただおふくろの髪撫でて、額に唇落として、俺も聞いたことねぇ様なやさしい声で『ありがとう。ゆっくり休め』って」
ズキリと胸が痛んだ
「おふくろへの深い愛情は、400年経った今もまだ親父は持ち続けてる。
むしろ浅くなるどころか深くなり続けてるのかもしれねぇ親父を、あんたは放っておくのかい?」
………どうして
私のことなど遠の昔に忘れ、後妻でも娶ればよかったものを
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mikitty(プロフ) - 更新されていて、とても嬉しくてニヤニヤしちゃいました… (2020年3月16日 15時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - とても面白く続きが気になるので更新頑張ってください! (2020年3月16日 10時) (レス) id: 8c7b14ea8f (このIDを非表示/違反報告)
透騎(プロフ) - ワクワクドキドキしすぎて更新が待ち遠しいです!今回も面白かったです! (2020年3月16日 7時) (レス) id: 77908472ca (このIDを非表示/違反報告)
あかがみ(プロフ) - 早速読みました!続きが気になっていたので更新してくれて嬉しいです!次回も頑張ってください! (2020年3月16日 0時) (レス) id: 55e841535d (このIDを非表示/違反報告)
アニメ大好きwoman - とっっても面白いので早く続きが読みたいです!更新頑張って下さい! (2020年3月14日 3時) (レス) id: 8b1d0909e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:江 | 作成日時:2020年1月11日 19時