必要ない、いらない奴？そんなこと言わないでください。Part2【黒バス】

立場逆転、番外編第2話。* ページ19

桃井side

『A今日の専科一緒に行こうよっ！』

『あっ、ずるい！』


今日も変わらない。

扉を開けたら溢れるAへの言葉。

私も、入れて欲しいな。

…なんていつも思う。


桃「っA！」


どうしてもそんな感情が抑えきれなかった。

思考より、先に口が動く。

…Aの名前を呼んでしまった。


「…ごめんなさい、専科はさつきと行きたいんです」


きゅっと手を握られた。

嘘偽りのない、私に気を使って吐いている訳じゃない。

心からそう思ってるよ、そう感じさせる暖かな声色。

嬉しくて、頬が緩む。


『なんでー？』

『桃井姉なんてほっとけよ』


桃井姉。

皆、私の事をそう呼ぶ。

お姉ちゃんだけどさ、双子だもん。

私も名前呼んで欲しいな。


黄「Aっちー！」

「わっ、」

黄「桃井姉なんてほっといて、俺たちと行こ？」

紫「お菓子もあげるよ〜」


当然ながら、Aは部活の皆にも好かれてる。

この光景を見ていつも思う。

…私みたいな、マネージャー必要ないのかも。

嫌に理解してしまう。


「はぁ…だから」

桃「A、きーちゃん達と行きなよ」


私は、大丈夫だよ。

Aにとって、足枷になりたくないよ。


桃「私なら、平気だから！」

「なんで…」

桃「だって、いつもの事だもん」

「え？」


Aはよくわからない、とでも言いたげな表情をする。

その表情はなぁに、いつもの事でしょ？


桃「わ、私は慣れてるから…だから」

『うわっ、マジないわ』

『折角Aが私たちの誘い断ってまで行こうとしてくれてたのにねぇ』


そっ、そんな事言われても…

どうしようもないじゃん、何が正解なの？！


桃「だ、だって！」

緑「貴様がAの気持ちを踏みにじったのに違いはあるか？」

桃「みどりん…」


背後に立たないでよ。

びっくりするじゃん、もう。

…みどりんまでそんな事言うんだ。


緑「…その気持ち悪い呼び方をやめろと何度言わせるのだよ」

桃「ご、ごめん…」


みどりんも、厳しいなぁっ…

滲みそうになる涙をそっと抑える。

渾名呼び、自重しないと駄目かな？


青「…もうこの話はいいだろ？」

赤「あぁ、空気が重すぎる」


思わぬ二つの助け舟。

…ありがとう。


それにしても、Aの表情が気にかかる。

素で理解し難いといった表情。

いつも、私だよ。

それくらい覚えるでしょ…？

辛いのは、こっちだもん。


Aの事、大好きなのに。

…素直に喜べない私が一番最低だ。

立場逆転、番外編第3話。*→←立場逆転、番外編第1話。*

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