一話 ページ2
「おめでとうございます。五週目に入りましたよ。心拍も安定してますし、健康な生活を送っていれば大丈夫かと」
念のため処方箋出しておきましょうね、と産婦人科の優しそうな先生がニコニコと気前の良い笑顔でハキハキと喋った。
結局のところ、行動しようと思った時からは早かった。
パスポートとこらからの荷物でできる限りかき集めて、軽い身支度を済ませる。
元々は、ただの客と選手だった。
友人に連れられて見たサッカーの試合で、誰よりも輝く赤い髪、気がつけばそれはもう不本意で。そこで彼が初めて糸師冴と呼ばれることを知った。
超人離れしたプレーに超人離れした顔の良さとルックス。
この肩書きだけで世の女の子を虜にするのは十分すぎるぐらいだった。
彼は世界的にも有望な選手で、もちろん普通の学生だった私と出会うはずはなくて、みんなの高嶺の花だなぁと興味なさげに思いながら友達を連れて会場を後にしようと思ったあたりだ。
私と友人は運が悪いのか、帰り途中同じサッカー観戦をしていた柄の悪い男たちに絡まれた。しかも人目の少ない建物の裏。
途端、嫌な予感がした。
男数名が大人もつれず外夜遅く歩き回っている子供を囲っているという時点でなんとなく予想がつくが、タチが悪いのはその子供が女ということだ。
ニタニタも気色の悪い笑みを浮かべる男たちに心底Aは苛ついた。
抵抗する友達に一人手を出そうとした男。その瞬間、Aの鞭のような強烈な足蹴りが男の股間に直撃した。
「触ってんじゃねーよ、カス」
高圧的で地を這うような声で男たちにAが吐き捨てた。
男たちがこちらに怒りをぶつけ襲い掛かろうとした瞬間。
Aはまたも容赦なく一回蹴り上げた男の股間を今一度強く蹴り上げた。
引き攣った声を出しながら男が倒れる。仲間のメンバーを同じ痛みを想像したのかひぃっ‥と唸った。
男たちが何か言い訳臭いものを口の中に言いくるめながら去っていく。
友人は相当ショックだったのか、気絶してしまった。
タクシーでも呼んで帰ろうかと思い、面倒臭そうにため息を吐いた瞬間だ。
蛇足類の虫がはったような不快感が突如背中を襲いAの頭が警報音を鳴らした。
ぐるん、とその方向へ首を向けると途端にぎょっとAは目を見開いた。
そこにいた、赤髪の男。
冷や汗がぶわっと身体中から出るのを感じて、Aは思わず目を伏せた。
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なぎねぎ - すごくおもしろかったです。女の子の性格がとても好きでした。 (1月12日 20時) (
レス) @page32 id: eca7262407 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無％(プロフ) - 完結おめでとうございます！題名からビックリし惹かれまして読み進めていったらこんなにも面白い作品とは思いませんでした！！ビックリ展開多かったですけどとても面白かったです！お疲れ様でした (2023年4月1日 6時) (レス) @page32 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
Joke(プロフ) - 完結おめでとうごさいます！このお話が出てきたときからのファンで、友達にも紹介するほど好きだったので完結してとても嬉しかったです！改めて完結おめでとうごさいます！ (2023年3月28日 1時) (レス) id: 61b77d541b (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉ずっと陰ながら応援させていただいてました！！！この作品滅茶苦茶好きです！改めておめでとうございます！ (2023年3月18日 11時) (レス) @page32 id: 12afbbff79 (このIDを非表示/違反報告)
ちわこ(プロフ) - ひやああああ面白いっ！！更新楽しみにしてます！！！ (2023年3月13日 23時) (レス) @page29 id: 743e31f7de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じゃじゃー麺 | 作成日時：2022年12月19日 16時
