2660.【くも膜下出血】 ページ10
［雅にぃside］
フットサルから
帰ってきた双子を交えて、土曜日の昼食。
和「潤ね、2回もゴール決めたの」
翔「すげーじゃん！」
潤「くはっ！」
和の言葉に思いっきり照れちゃって可愛い奴。
潤てあんまり自分から自慢してこないから
こうやって和が引き出してくれる。
双子はほんと良いバランスでね。
和「それでね、相手チームに『あいつやべぇぞ！』
って言われてね？」
智「んふふ…」
翔「はは！マークされてんだ？」
照れる潤を放って、話はどんどん進んでいく。
和はチャーハンを口に運びながらも、楽しそうに
話をしていた。
話すの上手だからね。
俺は支離滅裂になっちゃって、いつも兄たちの
フォローが必要になるけど。笑
和「マークされて身動き取りづらくなって
イライラして、…ゅ、…ん、…、ね…」
翔「え？」
順調に喋ってた和が、なんかゴニョゴニョ…って
口ごもり始めて。
最初は口にご飯詰め込み過ぎたのかなとか…
そんな風に思って。
でもパッと顔上げて『あ、違う…』って。
和「…れ、…んで、…っ、…ん…」
翔「…和？」
言葉を続けようとするのに、口が動かないって
感じで。
顔も歪ませてるし、和自身『なんで？』って
思っているのが分かる。
智「和？」
和「…あ、…たい…」
翔「頭？頭痛いの？」
パッと頭に手を当てた和は「痛い」って
言いたいんだろうけど、言えずに…
痛みに悶えて椅子から落ちるように床へ。
激痛なんだと思う…
涙を流しながら、息も上がって、汗もすごい。
智「え、なに？」
翔「分かんねぇ…どうしよう…」
珍しく上2人がパニック気味で、必死になって
和に声を掛けたり、背中をさすったり…
「頭だよね？こんな痛がってるのヤバくない？」
潤「やだ…、やだよ、和…」
潤は和の足元に座り込んで泣いてる。
なんか、頭って怖いイメージしかないから…
「救急車、呼んだ方がいいよね？」
智雅「…」
2人には目の前の和しか見えてなくて
返答はなかったけど、救急車を呼んだ。
翔「和！しっかりしろ！」
智「かず！」
和「…っ、…ん、…ん…」
ひたすらに頭の痛みを訴えていた和は、
だんだんと意識が薄れていく…
翔「かず…」
智「かず！かず！」
潤「…っ、んくっ…かず…」
さっきまでの楽しかった空気は一変…
「もうすぐ救急車くると思う」
パニックになった兄たちに、俺の言葉は
全く届かず。
サイレンの音が聞こえたから、玄関先まで
出ていって、救急隊員の人たちを家の中へ。
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
