2659.【4】 ページ9
［雅にぃside］
事故の前、珍しく
智にぃが子どもみたいに、はしゃいでいて
可愛いなって思ったんだ。
フニャッとしてそうで、実はしっかりしている
智にぃが、俺より楽しそうに駆けて行ったから
『あぁ、ほんとに楽しいんだろうな…』って
嬉しくなった。
でもね、俺も智にぃも場所を考えてもう少し
慎重にしないといけなかったんだ…
駐車場だもん、飛び出したらいけないよね。笑
「も…痛くないから。心配しない、で？」
智「…ん」
無邪気な笑顔を失くしてしまった智にぃは
ションボリ…しながら、でも俺の傍にひたすらに
居てくれる。
「俺ね？目が覚めて一番に…智にぃが怪我しなくて
良かったって思ったんだよ？」
智「…ん」
「無事でいてくれて、ありがと…」
智「…んふふ」
ベッドに寝転んだまま手を伸ばしたら、自分から
頭を寄せてきてくれた。
あひゃひゃ…可愛い。
「ちゃんと…寝れてる？」
智「…ん、平気だよ」
面会時間めいいっぱい病院に居てくれるから
ちょっと心配。
でも今は、睡眠時間を削るんじゃなくて
仕事をセーブしてるよって翔にぃが教えてくれた。
俺に心配を掛けながら看病したら、元も子もない
って言っていたみたい。
ほんと、ほんとはしっかりした長男だもんね。
先を見据えて行動するところから、智にぃらしさを
感じる。
［翔にぃside］
コンコンコン…
智雅「はぁ〜い」
「はは！おはよう」
病室に入ると、こっちを向いて仲良くニコニコ
している2人がいる。
今回の入院では、すっかりおなじみの光景。
ちょっと新鮮。
「どう？調子は」
雅「ん、大分いいよ。ラクになってきた」
「そっか、よかった」
智「もうすぐ昼食だよね。取ってくるね」
雅「ありがと…智にぃ」
「智にぃのおにぎり置いておくね。温かい
お茶入れよっか？」
智「ふふ…ありがと…」
お昼は3人で食べることが多い。
双子のことなんかも伝達しながらね。
3人での空間になると、雅紀は末っ子っぽくなって
甘えてきてくれるし。
雅「今日も散歩行っていい？」
「熱なかったら、30分だけな？」
雅「あひゃ！やったぁ〜」
智「中庭連れてってあげるね」
雅「ん ♪」
散歩は車椅子で。
それでも不満を言わずに「30分をこんなに
長く感じて、大事だと思ったことなかったよ」って
明るく笑って。
どこまでも前向きでポジティブ。
だから、智にぃも沢山笑えるようになった。
ひたすらに、優しいから…
そのパワーで、回復まで頑張ろうな。
END
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2982人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
