2671.【末っ子の中耳炎】 ページ21
［翔にぃside］
和がそろそろ登校
しようとしている頃に潤が起きてきた。
いつもより少し遅め。
心なしか顔色が悪い気がする…
右手をこめかみ辺りに当てているし。
「潤、おはよう。…具合でも悪い？」
潤「んー…」
階段を降り切った潤はハッキリとは答えず
洗面所へと消えていった。
和室であらしに「そろそろ学校いくね」って
伝えながら戯れていた和の方が、潤より反応して
「え？熱？」って駆け寄ってきた。
「…っ、だからお前、制服で抱くなって」
和「黒いから大丈夫だって言ってるでしょー」
屁理屈ばっか。笑
戻ってきた潤に声を掛けたけど「大丈夫」って
返された。
念のために熱を計らせてみたけど平熱で。
「メロンパン食べてもいいよ」って和の言葉に
「サンキュー」って笑って朝食もとれていたから。
俺の思い違いかなー、なんて思っていたんだけど…
夕方に智にぃから「もしかしたら耳が痛いのかも
しれない」ってLINEがきて。
珍しく放課後に寄り道せずに帰ってきて、
ソファーでゴロゴロしているらしい。
その手が仕切りに右耳に伸びてる…って。
確かに今朝もそんな感じだったな…って
思い出した。
帰宅してから、ちょっと気にして潤のことを
目で追ってみる。
いつもの様な元気もないし、多分かなり我慢
していたんじゃないかと…
昨日までは、まるで気にならなかったから。
隠してたんだと思う。
双子が風呂に入っている間に、智にぃと雅紀と
少し話をする。
実は潤『耳鼻科には一生行かない』って
言う程の耳鼻科嫌い。
まぁ、苦手な人多いと思うけれど、潤は特別。
中耳炎になって治療した時の恐怖心が
あるみたいで。
トラウマみたいになっちゃってる。
智「どうやって切り出そうか…」
「一筋縄ではいかないよね…」
雅「嫌がるだろうなぁ…」
とにかく、話をしてみないことには
どうにもならない。
もしかしたら耳痛ではないのかもしれないしね。
「あとで、部屋にいってから話してみようかな」
智「ほんと？…頼んでいい？」
「ん、俺から聞いてみる」
治療のこととか聞きたいかもしれないから
俺から話した方がいいかなと思って。
トントントン…
潤「…だれ？」
「俺。ちょっといい？」
就寝の時間になって潤の部屋にお邪魔。
こいつは真っ直ぐだから、探ろうとするより
唐突に聞いた方が良いと思うんだよね。笑
「何が言いたいわけ？」とか言って、機嫌悪く
なりそうだし。笑
だから「耳痛いの？」って直球で聞いてみた。
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作者名：空
| 作成日時：2017年9月3日 16時
