2609.【大好きが故の勘違い】 ページ9
［智にぃside］
翔「ちょっと
休憩しようか…」
和「だいじょうぶ…」
翔「じゃあ、採血だけして一旦休憩な？」
和「…ん」
和の定期検査で病院に来てる。
例の検査はないけれど、午前中から病院にきて
いくつかの検査をしているから、和は少しずつ
疲れ始めていて。
だんだんと元気がなくなってきたから、翔が
気遣う。
和「…ん、んくっ…恐、い…」
翔「ん、恐いよな。すぐ終わらせるから」
「大丈夫。ギュッてしてるからね…」
ポロポロと泣き出した和を抱き締めて、背中を
さすっている間に、翔が採血を済ませてくれた。
こんな風に、少しだけ不安定になっているところに
飛び込んできたスタッフからの情報。
『雅紀くんも病院にきてるわね』って。
屋上に行こうとして歩いている時に、すれ違った
スタッフがポロっと。
冷静に考えれば、すれ違い際に笑顔で伝えて
きたんだから、雅紀の身に何かあって
病院に来ているんだとは考えにくい。
和「…なんで？なんで雅にぃが来てる、の？」
「なんでだろ…」
でも俺も咄嗟のことで、しっかり応えてあげる
ことが出来なくて…
それが良くなかった。
和はポロポロ泣き出して「雅にぃ…」「なんで
病院にきてるの…」って取り乱してしまった。
［雅にぃside］
職場の後輩が怪我をして2週間くらい入院する
ことになって。
「和と同じ、翔にぃの病院だった」って話は
にぃ達にはしていたんだけど。
お見舞いに行く日とかは、はっきりして
いなかったから伝えてなかった。
そしたら、今朝出勤して急に「午前中、お見舞いに
行ってきてもらえる？」って先輩に頼まれて。
お見舞いに行こうとしていたスタッフが
急遽行けなくなったからって。
引き継いで欲しい資料の話を聞いたりして
ちょっとバタバタして。
にぃ達に「これから病院にお見舞いに行くよ」って
連絡することを忘れてしまった…
病室に向かう途中で何人かのスタッフさんに
会って、挨拶したり、世間話したり。
病室に入ってからは、頼まれた資料を渡して
引き継ぎの話をしたりして。
担当の動物の写真とかも撮ってきたから、
見せながら話をして盛り上がっていたら…
翔「ごめん！雅紀。ちょっときて！！」
「…えっ…」
いきなり病室に飛びこんできた翔にぃが
挨拶もそこそこに俺の手を引っ張る。
「ね、なに？どうしたの？」
翔「和が、勘違いして取り乱してるんだ。
お前に何かあって病院に運ばれたと思ってる
みたい」
手を引かれながら廊下を歩く…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2949人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2017年7月13日 21時
