2611.【3】 ページ11
［翔にぃside］
屋上に行く途中の
廊下に和はいた。
ポロポロ泣きながら、智にぃの手から逃れようと
もがいていたけど…
雅「かず！！」
和「…っ、…さにぃ？」
雅「そうだよ、和。ごめんね…」
雅紀の声と姿を見たら、パッと表情が変わって…
「もう大丈夫だね…」って、智にぃと顔を
見合わせてホッとする。
雅「ごめんね、和。お見舞いにね、来てただけ」
和「…ん」
雅「だから俺は元気。心配掛けてごめんね？」
和「…ん」
小さく声を漏らして頷いて、それから雅紀に
ギュッと抱き付いて、胸元にスリスリ。
まったく…可愛い奴め。笑
「屋上で少し休憩しよっか」
雅「そうだね、そうしよう？」
和「…ん」
智「飲み物なんか買ってくるね」
雅紀と俺で両側から支えたら、意外と足取りは
しっかりしていて。
屋上で芝生の上にゴロン…としたら、笑顔も
見せてくれるようになって。
和「おいし…」
「…よかったな」
智にぃが買ってきてくれたジュースも
嬉しそうに飲んでる。
雅「ほんと、ごめんね？」
和「んーん。もう平気」
雅紀にいっぱいくっ付けて幸せそう。
「冷静になれなくて、俺らも悪かったよ」
智「そうだね。ビックリして慌てちゃった…」
申し訳なくなって謝る俺らを見た和は「んーん」
って首を振って…
「雅にぃ元気だったからもういいの」って。
何の恥じらいもなく、心の底から出た素直な
言葉に、雅紀の笑顔もパッと咲いて。
「ありがと〜、かずー！！」って強いくらいに
抱き締めてる。
和「苦しーよ、雅にぃ…。笑」
雅「あひゃ！いーの、いーの！！」
和「んふふ…」
和は普段、イライラを雅紀にぶつけることが
多いし、何かとライバル視したりするけど。
ほんとは誰によりも雅紀に心を開いていて
優しすぎる雅紀のことを誰よりも心配してて…
そんな可愛い一面もあるんだよな…って
再確認できた。
和「まだ検査残ってるから、一緒に来て？」
雅「ん、いいよ。心配掛けたお詫びね」
和「んふふ…やったぁ」
「仕事戻らなくていいの？笑」って心配する
俺らをよそに、雅紀は終始、和にベッタリで。
いつもの何倍も甘やかして、寄り添って
あげてる。
歳が離れている割に、喧嘩も多い2人だけど、
お互いを大切に思う、気持ちの強さは同じくらい。
雅紀も和のことを常に気に掛けているし、
弟として、本当に可愛がっているから。
今回のハプニングは、和が雅紀のことを大好き
過ぎるが故の勘違いから起こったことだね。笑
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年7月13日 21時
