終わりと始まり ページ7
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それは、突然だった。
-----バンッ
『…ん…?』
夜、何か物音がした気がして目が覚めた。
『(道場のほうから…?)』
でも、この時間は皆こちらの離れで寝ているはずだ。
不思議に思って耳をすますと、人の声が聞こえた。そして…
-------キィンッ
刃の交わる、音。
しかもこの音は、木刀なんかじゃなくて。
『真剣の音……っお父さん!お母さん!』
そこからは早かった。
護身用にと両親がくれた真剣を持ち、道場へと急ぐ。
とにかく大切なひとたちの無事を祈って。
_______だが、現実は残酷だった。
『なに…これ…』
目の前に広がるのは、赤、緋、赫。
そして、白髪の"ナニカ"。
『お、父さん…?お母さん…?みんな…?なんで…』
夕餉のときは、みんな笑ってたのに。
明日も頑張らなきゃって、言ってたのに。
幸せを壊したのは、だれ…?
「ヒャハハハハッ」
「血だァ、血を寄こせェ!」
白髪のナニカが、刀を持って走ってくる。
『返、して…』
「血が欲しいんだよォ!!」
『みんなを、返せって言ってんのよ…!!』
-----ザシュッ
-----ザンッ
『はぁ…はぁ…』
1人の心臓を突き、もう1人の首をはねた。
手も身体も返り血で染まった。仇は討てたはずなのに、少しも達成感がない。
『うぅ……みんな…』
もうあの日々は戻ってこないのだと、涙を流していた_____その時。
「うそだろ…」
「間に合わなかったか…」
突然男の声が聞こえた。
反射的にそちらを振り向くと、長い髪を上に高く括っている男、そして赤い髪で長身な男が道場の状況に哀れんだ目を向けていた。
男たちをボーッと眺めていると、ふと2人の視線がこちらを向き、そして瞠目した。
「お前、その格好…!」
「嬢ちゃん、どっか怪我してんのか!?」
『ぁ、ぃや、これは全部…』
返り血であることを伝えようと、先程斬ったモノに目を向けると、さらに驚いた声を出した。
「羅刹が…一撃で急所を!?」
「これ…お前がやったのか?」
『みんなを、返してほしかった…』
「「………」」
私の言葉に、2人は何とも言えない表情で視線を逸らした。
が、2人はすぐに視線を交わし、1度頷くと…
『っ!?』
「悪いな。こいつら見られて、このまま放っておけねぇんだ」
首に鋭い痛みを感じたあと、私は意識を手放した。
_____これが、私の日々が変わった最初の出来事だった_____
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作者名:流風 | 作成日時:2018年10月31日 23時