【ωrωrd】元・世界最重要指名手配犯【男主】

#64 ページ26

…撃たれたな。

倒れて行く俺の視界には

倒れるシータと、シャオロンが見えた。



ちゃんと殴れたんだな。

良かった良かった。



うー…ん。やはり痛い。

俺の予想ではここで心臓を撃たれた筈なんだが。



俺は深く息を吸って血を巡らせる。
これでどこに痛みを感じたかで先程どこを撃たれたのかが分かる。



『……ｯ』


両脚と…、右腕……？



俺は生きているのか。


未来は変わったのだろうか。

俺が起き上がると倒れている兵士達と
縛られているシータが見えた。



shp「生きてて良かったっす」

俺と目が合ったショッピは胸を撫で下ろした。



気絶していたシータも目を覚ました。

俺は言いたいことがあったので立ち上がる。


シータは目を見開いて俺を見た。

θ「何故…、何故お前は立ち上がるんだ」

俺は相手の首にナイフを立てる。



『…お前は俺を、人を疑うことすら出来ない馬鹿だと言ったな。

残念ながら、実の父親だったお前に殺されかけたことで人を疑わずに生きることなんて出来ていない。


だが、』


俺はナイフの先だけを首に沈める。


『信じられる仲間が出来たんだ。

俺は人を疑うのをやめたんじゃない。

人を信じることを始めたんだ。



お前も、あの世の中で信じられる人に出会えるといいな?』



俺は左手でナイフを首に刺した。


吹き出した赤が俺の顔を汚す。



『…グルッペン。θ国の国王の首を取った。今から我々国へ向かう』

そう言うとグルッペンは鼻で軽く笑ってから

gr「時間がかかり過ぎじゃないか？」

と言った。

少し鼻につく言い方だったが今回は多めに見よう。



皆で任務が成功したことに喜んでいると、



ﾊﾟｧﾝ!!!



銃声が1つ、響いた。

皆が静まる。



俺は膝をつく。

…何が起きたのだろうか。


俺は喉から何かが込み上がってくる感覚に襲われ、


血を吐き出した。






………あ。
胸の辺りに熱が集まる。






撃たれたのだ。

何故、反応出来なかったのかは分からない。



ゾムはすぐさま俺を撃った者を切りに行く。

皆が、鬱先生が、ショッピが、シャオロンが俺に声をかけている。


声は聞こえないが口は動いているから、
きっと何か言っているんだろう。




ゾムも来た。


何を言っているんだろうか。







分からない。








やはり未来の結末を変えることは、不可能だったのか。

今は死に恐怖するより、
自分の予測が正確である事を讃えよう。


その方がきっと楽に眠れるだろうから。

#65→←#63

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す