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擦り傷。内出血。打撲。所々に小さな切傷。
4匹の状態をひと通り見て、Aはそれぞれに適した塗り薬やらガーゼやら包帯やら飲み薬を調合していた。
時折あくびを零してはいるが、そこは魔女。
すらすらと手際よく薬を完成させてそれぞれの患部に的確な処置を施していく。
ひと通り処置し終えて、4匹をソファに寝かせる。
地下の冷蔵室からハムと卵2つとパン1斤を魔法で出現させて、それぞれを切り分けていい感じにトーストしてそれを食べる。
飲み物はA自身がブレンドした特製の紅茶。実は何を隠そうこの紅茶、飲む者の魔力や体調によってその都度味が変わる。魔界でかなりの人気がある。
A「・・・・・・ロイヤルミルクティーか。
ん、味も上々だな」
「・・・・・・、っぅ・・・」
A「・・・お。起きた?」
朝食を食べ始めて数分。
もそもそと起き始めた4匹。
その中の犬がAの方を見てきた。
正確には、Aが手に持っているトースト。
「・・・っ・・・ぉ、美味しそう・・・」
A「ん?
・・・ああ、食べる?
食糧なら余裕があるし・・・」
「ええのっ!?」
A「うん。
ちょっと待って・・・っと」
ぽんっ
・・・ジュウ・・・
トーストを一旦皿に起き、人差し指を軽く振ればAの手元に出てくる卵8個とハム4枚。それをさっき切り分けたパンに割って落として、またいい感じにこんがり焼き上げる。
その様子をぱちくりと見る4匹。
Aが「はい。どうぞ」とテーブルに置けば、犬が真っ先にテーブルに飛び乗って食いついた。
「・・・!
うま・・・!え、ちょ・・・これめっちゃ美味いんやけど!?」バクバク)
「い、犬が・・・喋った・・・!?
てかその声・・・さ、坂田!?」
「うお、たぬきも喋った・・・!
てかなんでこんな視界低いん・・・!?」
「わぁ〜、たぬきに犬にリス・・・そんでチラチラ見えとるこのしっぽの毛。・・・僕は狐ですか」
「んぐ・・・っ、あれー。その声もしかしてうらさん達?
て言うか、ほんま美味いでこれ!!」
どうやらこの4匹は知り合いらしい。
ただ、何やら様子がおかしい。まるで自分達の容姿に驚いているような。
そんな中、一心不乱にトーストにがっつく犬。
その様子に釣られたのか3匹の空腹を知らせるように、ぐぅ〜・・・と鳴る。
Aが3匹の分もトーストを焼き上げてテーブルに置けば、3匹とも食欲に負けて食べ始めた。
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作者名:暇犬 | 作成日時:2018年5月29日 22時